プレーバック日刊スポーツ! 過去の11月25日付紙面を振り返ります。2013年の1面(東北版)は初のリーグ優勝、日本一になった楽天のVパレードでした。

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 ありがとう、マー君-。楽天田中将大投手(25)が24日、仙台市内で行われた優勝パレードに参加し、初のリーグ優勝、日本一の喜びに浸った。予想を超える約21万4000人のファンが沿道に集まり、公式戦無敗でチームを支えた殊勲者を祝福。田中にとっても初体験のイベントは、「一生の思い出」として記憶に深く刻まれた。また宮城県から県民栄誉賞、仙台市から賛辞の盾、兵庫・伊丹市からは市民栄誉賞を正式に受賞。ファンに感謝し、感謝された1日に感激した。

 「マーく~ん!」。沿道を埋め尽くしたファンの声援に、田中は感謝の気持ちでいっぱいだった。直前のセレモニーではテープカットに臨み、パレード中はそのテープを握りしめ、約21万4000人のファンに笑顔を届け、手を振った。約1・5キロを移動し、約30分間、幸せな時間を過ごした。想像を超えた至福のひとときを、「なかなか経験できることじゃない。ずっと自分の思い出に残っていくんだろうなと思いました」と感慨深そうに振り返った。

 このパレードのために、夜明け前からスタンバイしていたファンもいた。田中は「今日の通りを全面閉鎖するのは初めてということを聞いて、すごいなと」。開始の約3時間前までは小雨が降り、天候が心配されたが、スタート時間の午前11時には快晴に変わった。幸せを共有するのに、絶好のパレード日和となった。

 それぞれの選手に向けられたファンの声の中でも、田中への声援はひときわ大きかった。多くの笑顔と感謝の声に触れた田中は、「ありがたいですね。すごい歓声をいただいて、優勝した喜びをみんなで分かち合うことができて良かった」と素直な気持ちを口にした。

 感謝の思いを感じると同時に、多くの人から感謝された。この日、パレード前に村井県知事から「宮城県民に大きな夢と希望を与えてくれました。心より感謝します」と、県民栄誉賞を授与された。「チームのみんなで戦ってきた結果だと思っています」。パレード後には仙台市から賛辞の盾を、出身地の兵庫・伊丹市からは市民栄誉賞を贈られ、次々と「感謝」の意を告げられた。田中の残した数々の功績は、東北だけでなく遠い関西からもたたえられた。

 東日本大震災から2年8カ月。復興にはまだ時間がかかるが、消えかけた笑顔が戻り、歓喜と幸せに満ちた1日になった。田中は「すごくいいものでした。またやりたいですね」としみじみ言った。田中を中心に、選手と21万人超の観衆は一体となった。

※記録と表記は当時のもの