4年連続50試合登板をクリアした中継ぎの柱、阪神安藤優也投手(38)が19日、西宮市内の球団事務所で代理人をともなって契約交渉に臨み、600万円アップの推定年俸8800万円でサインした。来季、40歳シーズンで50試合登板を達成すれば、プロ野球史上初。新主将の福留とともにチーム最年長となる右腕は「虎投のアニキ」になると誓った。

 ヤクルト高津も中日岩瀬も成し遂げていない。40歳以上の50試合登板-。今月27日に39歳の誕生日を迎え、来季40歳シーズンに向かう安藤は、そんな記録にチャレンジしようとしている。厳しいトレーニングはもちろんのこと、強い肉体、精神力。多くの要素が伴わないと到達できない領域に挑む。それでもタテジマの鉄腕は、当然とばかりに言う。

 「リリーフをしている以上、50試合というのは1つの目標ですね」

 立場が変わる。1学年上で投手キャプテンを務めた福原が現役を引退した。新主将に就任する福留とともに、チーム最年長になる。来季は投手キャプテンは空位ながら、求められる役割を認識している。培ってきた経験を若手に伝えると約束した。

 「自分のことだけじゃなくチームが勝つために後輩たちにアドバイスしたい。投手に関しては1球の大切さ、1球の怖さというのを後輩たちに伝えたい。投手のことは福留に迷惑をかけられない」

 気持ちよく来季に向かうことができる。昨季は3年連続50試合登板も、勝ち試合に絡めなかったこともあり、まさかの300万円ダウンだった。この日は高野球団本部長が「査定ポイントは上がっている。長きにわたって安定した投球内容を見せてくれている」と言うように、ゲームを引き締める仕事を高く評価された。

 「やっぱり優勝したい。優勝するために微々たる力かもしれないけど、金本さんを男にするために頑張りたい」

 05年シーズンには先発ローテーションの右の柱として11勝を挙げた。以来遠ざかる、悲願の優勝へ。球界初の不惑の鉄腕となり、グラウンド内外でチームを引っ張る。【桝井聡】

 ▼満40歳以上の投手が年間50試合に登板すれば、プロ野球史上初。40試合以上は、過去7人が8度記録。最多登板は48年40歳の若林忠志(阪神)で48試合。近年では、09年に46歳の工藤公康(横浜)が46試合に登板。なお阪神では福原忍が満39歳の15年に61試合に登板。40歳の今季は9試合に終わっていた。