酉(とり)年の男になる。ロッテのドラフト1位、佐々木千隼投手(22=桜美林大)が6日、東京・町田の同大野球部グラウンドで自主トレを行った。名前に鳥の字を持つ右腕は、今年の決意を「飛」の1字で表現。素早く大空を突き進むハヤブサのように、飛躍の1年とする。

 決意を問われた佐々木は、色紙に迷うことなく「飛」と書いた。飛び跳ねるような勢いのある字体だった。「やっとスタートラインに立った。飛躍の意味を込めて、1年間、飛ぶように活躍出来たらという思いを込めて、この字にしました」と説明した。千隼の「隼」であるハヤブサは、最速300キロを超えて飛ぶ。プロの世界を一直線に突き進む。鳥の名を持つ男に、ふさわしかった。「酉年ですしね」と人懐っこく付け足した。

 酉年は縁起がいいかもしれない。12年前の05年、ロッテは31年ぶりのリーグ優勝&日本一。当時、小学5年生だった佐々木の脳裏にも刻まれた。特定のひいきチームはなかったが「覚えてます。里崎さんがすごく活躍された」と懐かしんだ。

 さらに、不思議な話がある。最近まで、なぜか自宅の部屋にロッテの応援メガホンが飾ってあったという。しかも「2005年」のシールが貼ってあった。誰のものなのか、入手経路は全く不明だ。ロッテ入団が決まり、サインを書いて友人に贈ったが、12年前からロッテとつながっていた!?

 練習では、キャッチボールにじっくり時間をかけた。「まだまだです。思ったように動けていない。この時期なので。焦らずに上げていけたら」と慎重だったが、6割から7割の力でしなやかに腕を振った。締めは、グラウンド近くの急勾配を10本、駆け上がった。近くで遊んでいた子供たちも飛び入り参加。くしくも、男の子たちは12年前の自分と同じ小学5年生だった。「僕のこと、知らなかったです。でも一緒に楽しくやれた。思い出になりました」と笑った。酉年にプロ1年目を迎えるハヤブサは「タカ(ホークス)やワシ(イーグルス)に負けないよう頑張ります」と誓った。【古川真弥】

<酉年のロッテ>

 ◆1957年(昭32=3位・別当監督)山内が首位打者。左腕小野が26勝。

 ◆69年(昭44=3位・濃人監督)木樽が最優秀防御率、有藤が新人王。成田がノーヒットノーラン、メキシコ五輪陸上選手の飯島秀雄デビュー。

 ◆81年(昭56=3位・山内監督)前後期制の前期V。落合が初の首位打者、村田が最多勝、最多奪三振。

 ◆93年(平5=5位・八木沢監督)南渕が14打席連続出塁のプロ野球新記録(当時)。伊良部が当時日本最速の158キロ出す。

 ◆05年(平17=日本一・バレンタイン監督)レギュラーシーズン勝率はソフトバンクに次ぐ2位も、当時のルールでプレーオフに勝ちリーグV。日本シリーズは阪神に4勝0敗で31年ぶり日本一。久保が新人王。

 ※57年の球団名は毎日