もはや別格だ。オリックスは宮崎春季キャンプの4日、12球団最速で紅白戦を実施。紅組4番に入った吉田正尚外野手(23)は、右へ左へ2本の二塁打を放った。「結果は別に…。練習していることをやるだけ。内容重視なので」。並の2年目選手ならアピールのため結果を求めるのが自然。だが理想の打撃を追求する姿は貫禄すら漂う。

 2回は左腕八木に2-2からカーブをためて左翼線へチーム初長打。だが打ち損じを悔しがる。「それまで2球ミスショットあった。1球で仕留めないと」。5回は戸田の外角直球をたたき左翼線へのライナー。こちらは「自分のスイングをして、結果的にレフトにいった」と、一定の満足感があったようだ。

 今季はFAで糸井が抜けた。吉田正に求められるのはレギュラー争いでなく、打線の中核として引っ張ること。福良監督からは4番候補と期待される。それを本人も自覚。だから今は目の前の結果ではなく、もっと先を見ている。驚くことに、練習で右方向への柵越えは打ち飽きたようだ。

 「打撃練習で引っ張りの本塁打はもうイメージできている。今はセンターから左中間へ抜けるような打球を練習している」

 昨年はリーグ最多勝のソフトバンク和田や、11勝の日本ハム有原から左方向にアーチを放った。ただ満足の弾道ではない。今キャンプはほんの少し投球を呼び込むのが1つのテーマ。0・1秒以下の極限の世界にこだわり、バットを振り続けている。【大池和幸】