昨年に育成から支配下登録されると、打率2割9分9厘、11本塁打で一気にブレーク。しかし右肩に不安を残し、1年間捕手でプレーできるかは微妙な状況だった。金本監督は勝負強い打力を高く評価しており、「(打線に)原口は欠かせない」と言うほど。打線の軸でフルに働いてもらうには、一塁が適任だ。今後は一塁の練習に専念することで他のポジションとの連係を深めていく。

 その一方で、矢野コーチはシーズン中の捕手起用の可能性を排除しなかった。「点が取れないとなれば、キャッチャーもできる。そこをセールスポイントにしてほしい」。攻撃的なオーダーのオプションとして、捕手原口も頭に入れている。「両方準備して、やれることはしっかりやって、と思う」と本人も意欲を燃やした。開幕戦は北條が遊撃で迎えることが有力になり、空いていた一塁には原口が座る。金本阪神の骨格が見えてきた。【田口真一郎】

<捕手からコンバートされ成功した主な選手>

 ◆衣笠祥雄(広島)捕手出場19試合。1年目65年の守備は捕手のみ18試合。翌年66年一塁に移り、さらに75年からは三塁へ。広島黄金時代の主役を張った。

 ◆石嶺和彦(阪急・オリックス-阪神)捕手出場68試合。右膝半月板の故障で84年外野転向。オリックス時代の90年に打点王を獲得するなど通算269本塁打を放ち、主軸で活躍した。

 ◆小笠原道大(日本ハム-巨人-中日)捕手出場59試合。3年目の99年シーズン中、一塁へ移り打撃が開眼した。06年日本ハム、07年巨人で両球団のリーグ優勝に貢献し、2年連続MVPも獲得した。

 ◆和田一浩(西武-中日)捕手出場73試合。入団から5年間外野と併用され、02年から外野専任。通算打率は3割3厘で、落合中日の黄金時代を支えた。