中日浅尾拓也投手(32)が525日ぶりに「1軍」に帰ってきた。17年のナゴヤドーム初戦。大歓声を受けて8回に4番手で登板し、加藤、平沢、岡田と3人で片付けた。昨年は右肩の不調でプロ入り後初めて1軍登板なし。復活のノロシを上げ、笑顔がはじけた。

 「(大歓声は)集中していて分からなかったけど、ありがたいです。ファンの声援、球場の広さだったりは選手としてやりがいがある。久しぶりにキャンプが終わってからのオープン戦で投げられた気がする」

 内容もあった。最速141キロ。最速157キロを出したかつての球速はなくても、パーム、フォーク、スライダーと制球よく投げ、相手の打ち気をそらした。「ダメなら1試合で落ちることもある」と臨んだ登板で“満点快投”だ。

 肩痛の原因になった昨年2月27日の練習試合をのぞけば、「1軍」のマウンドは15年9月26日DeNA戦(横浜)以来。ナゴヤドームは昨年8月の2軍戦以来。1軍となると15年9月24日が最後だ。今キャンプは2軍で過ごし、前日3日に1軍合流していた。

 「ここから(状態が)上がるか下がるかはやり方次第。上がるようにやっていきたい」と表情は明るい。森監督は「昔みたいに力で押す考えはない。変化球をどう打たせるかを課題にしている。肩、肘の不安なくきて、明日何もなければ、またチャンスはあるでしょ」とうなずいた。かつての絶対的ストッパーが期待感たっぷりに走り出した。【柏原誠】

<浅尾復活の道のり>

 ◆故障 12年5月に右肩関節腱板(けんばん)損傷と診断。9月に復帰。13年は肩痛の影響で出遅れ7月に初昇格。14年は開幕前に右肘痛を発症し、6月に復帰も8月に離脱。防御率6・16とワーストの成績。

 ◆復活間近も 15年は36試合に登板し復活の兆しを見せた。オフも絶好調で約1カ月前倒しで体を作っていたが、16年キャンプ中の2月27日の練習試合後に右肩痛を発症して離脱。

 ◆再発 4月下旬から順調に2軍登板を重ねたが、1軍復帰の見通しが立った5月下旬に再び肩を痛めた。7月20日に2軍戦に復帰し、シーズン最後まで投げたが1軍昇格なし。

 ◆再起 1月の自主トレでは元ソフトバンクで右肩痛から復活経験がある馬原氏のもとで自主トレ。体重増でフォームの安定を図った。2軍読谷キャンプ初日からブルペンで89球。2月17日に2軍で実戦登板。