この強さ、カナリや! バファローズが忘れていた何かを思い出したかのような会心の勝利を収めた。2回に打者一巡、6安打を集中して6得点。11安打で8得点すれば、先発松葉から4投手のリレーで阪神をシャットアウト。京セラドーム大阪のファンは喉がかれるほど、勝利のソングをたっぷり歌えた。

 2日前の13日夜。大阪市内での「激励パーティー」で刺激的なはっぱをかけられていた。宮内義彦オーナー(81)がナインとともに壇上に並び「わがチームは勝ちを忘れたバファローズになってしまった。勝ち方を思い出してもらうしかない」とあいさつした。童謡「歌を忘れたカナリア」に引っかけた、痛烈なメッセージ。童謡の歌詞まで披露し「バファローズは後ろの山に捨てるわけにはいきません」とかぶせる念の入れようだった。

 オープン戦とはいえ、地元関西では注目の阪神戦。このオフにFA移籍した糸井の実戦デビューも重なり、余計、力が入る状況だった。福良監督は「(糸井)嘉男も1本打って、元気にプレーしてよかったね」と余裕のエールを送りながら、快勝の自軍にはたずなを緩めなかった。

 「糸井の穴」を感じさせない活発な攻撃にも「全体的にもう少し上げていってもらいたいね」と尻をたたけば、オープン戦1号を含む3打点のT-岡田に対しても「1本だけでしょ。最後の8回。あそこで打つのが求められる」と注文をつけるのを忘れなかった。負け方を忘れたと言われるまで? 勝利の歌を追い求める。【町田達彦】