連覇へ、エースが先陣を切る。広島クリス・ジョンソン投手(32)が29日、開幕前最後のブルペン投球を行った。大役を任された31日の開幕阪神戦(マツダスタジアム)。2年連続の開幕投手は球団の外国人では史上初。愛着のある広島で再びチームメートと喜びを分かち合うために、任された大役でチームを勢いづける投球を誓った。

 開幕投手が決まっているジョンソンは、大一番を2日後に控えても泰然自若の姿勢を崩さなかった。言葉を選びながらゆっくりと話した。

 「2年連続の開幕投手というのはたくさんの投手が経験できないことだと思います。責任のあるポジションを任せてくれて、非常に光栄で、幸運なことだと思います。まずは自分が先陣を切って、チームに勢いをつけたいと思います」

 広島で外国人開幕投手は過去に4人しかいない。そして、複数回務めたのはジョンソンが初。昨季史上2人目の外国人沢村賞投手となった左腕は、また新たに球団や日本球界の歴史にその名を刻もうとしている。

 開幕へ向けて着実に階段を上がってきた。3月12日ヤクルト戦の4回2失点(自責0)から登板ごとに1イニングずつ投球回を増やし、最終調整の24日ソフトバンク戦は6回で90球投じた。「技術的な準備を1カ月間で行ってきた。自分のすべてをぶつけたい」。不安なく、開幕を迎えられる。

 他球団はFA3選手獲得の巨人を始め打倒広島へチーム力を強化。明日31日に対戦する阪神もオリックスからFAで糸井を獲得した。「昨年自分たちは今いるメンバーが中心となって優勝を経験した。昨年の戦いを今年も続ければ、他球団が大型補強をしようとしまいが、カープの野球は十分できる。そう信じてやっていく」。積極補強にも、大黒柱の気持ちはぶれない。

 年齢的にも、開幕1軍投手チーム最年長。「若い選手の見本のようになりたい」。チーム愛とともに、広島愛も深まった。休日にはカーリン夫人と市内の中心街でショッピングするなど「いろいろ文化を楽しんでいる」。日本で迎える3度目の春。住み慣れた街並みも色づき始めた。今年こそ勝って、2度目の開幕投手に彩りを添えたい。【前原淳】