阪神糸井嘉男外野手(35)が恩人たちの前で「恩返し」の猛打を狙う。11日、横浜スタジアムの室内練習場で打撃練習を行った後、DeNAラミレス監督と遭遇。「ライシュウカラガンバッテ」と“口撃”されて苦笑いした。オリックス時代の15年、3カ月間の巡回アドバイザーだった同監督に助言される間柄だった。

 「早出(練習)によく付き合ってくれていました。高田さんとも、今日、お会いできて良かったです」

 DeNAの高田繁GMとも室内練習場で会い「あまり打たないでくれ」と声を掛けられたという。同GMは糸井にとって、野球人生を切り開いてくれた人だ。日本ハムGM時代の06年4月、投手だった糸井を呼んで野手転向の球団方針を通達。適性を見抜きつつ「このままなら戦力外」といった会話のトーンだったという。そこから猛練習を重ね、一流打者に仲間入りした。

 恩を猛打で返す。DeNAは相性が良い相手だ。対戦打率は3割3分9厘。横浜スタジアムでは3割6分7厘まで上昇する。本塁打が出やすい球場で、1発に期待が集まる。

 新天地で迎えた今季は3本塁打、10打点がチームトップ。開幕早々から強烈な存在感を示している。歩んできた軌跡をゆかりのある人に見せる。