研ぎ澄まされた集中力のたまものだった。ヤクルトの先発小川泰弘投手(26)が、7回2/3を1失点。8安打を浴びながら要所を抑え、121球で3勝目を挙げた。

 信じる者は、救われている。今季の好調の秘訣(ひけつ)を聞かれた小川は「やっぱりあれですかね」とニヤリとして話しだした。開幕前に知人から「アーモンドは脳を活性化して、集中力を持続させると聞いたんです」と、効果があるかどうかは確認していないが、試合中のイニングの合間にアーモンドをポリポリ。今試合のイニングの合間に食べ続け「ランナーを出しても、粘り強く投げられた。先制点をやらないように、自分らしく強気で投げられました」と集中力を切らさず、巨人打線の内角をえぐっていった。

 ためになると信じれば、自分だけでは終わらない。バッテリーを組む中村は同学年の女房役。脳を活性化させ、集中力を持続させれば、配球面にも影響がある。小川から試合中にアーモンドを食べさせられている中村は「効果があるかは、まったく分かりません。たぶん、関係ないんじゃないかと思っています」と笑いながら言うが“亭主”のわがままを笑顔で聞くのが“良妻”の務め。打撃面でも3打数1安打1四球。しっかりと結果に結び付けている。

 普段は無口な小川が、珍しく周囲を笑わせようとして言った。「アーモンドバッテリーです」-。冗談にしては、なんのアレンジもない。ただ、野球に対して実直な小川の不敵な笑みが、頼もしかった。【小島信行】