リアル4番弾じゃ~! 広島鈴木誠也外野手(22)が4番に座って初めて本塁打を放った。4回1死から直球を捉えて左中間スタンド上段へ3号を飛ばすと、8回無死一塁から左中間へ4号。これまで主砲新井の休養日に4番に入っていたが、この日は新井も6番でスタメン出場する前で2発放り込んだ。その新井も1発で“応戦”し、チーム全体では4発で首位をキープ。緒方監督も目を細めた。

 鈴木が打った瞬間、スタンドの左半分が一斉に立ち上がった。DeNAの左翼筒香もその場を動けず、ただ打球を見送るだけ。球場中が確信する特大の1発だった。2点リードの4回1死。初球の高め145キロを捉えた。打球はものすごい勢いで、左中間スタンド上段に着弾。4番に座って初の1発は会心の一撃。「自分のスイングが出来た」と振り返った。

 8回にも無死一塁からダメ押しの4号2ラン。こちらは「風ですかね」と控えめだったが、カウント2-1からスライダーを一閃(いっせん)。「ここ最近、積極的にいけてなかったので、どんどん打ちに行こうと思った」と積極打法で運んだ。1回に菊池の2ランで先制した流れに乗った。前回対戦で1安打完封負けを喫したDeNA今永にリベンジを果たした。

 正真正銘の4番が近づいている。これまで4番で出場した8試合は、すべて新井がベンチスタートだった。しかしこの日は新井は6番、エルドレッドも5番にいる中で4番に座った。「後ろにカントリー(エルドレッド)も新井さんもいたので、つなぐ意識でした」。今季初めて4番以外の打順でスタメンだった新井も、7回にバックスクリーンへの豪快な1発を放った。新井が元気な中で鈴木が主砲に座れば、チームの巡りとしても理想的だ。

 鈴木の気持ちは「4番目」だ。「打順が1個上がって、ちょっとでも打席が多く回ってくると思ってやっています」と笑う。広島打線の強みは、一丸で次へとつないでいくこと。鈴木の意識は、真ん中に座っているだけだ。4番の苦しみがあるとすれば、まだ先かもしれない。ただ緒方監督は「4番目に据える選手というのは、そう何人もいるわけじゃない。存在感を見せてくれれば座ってもらう可能性は高くなるよね」と目を細めた。【池本泰尚】