鯉も4番が決めた。広島鈴木が6回に巨人田口から8号勝ち越し2ランだ。3試合ぶりの1発は、4番打者としては初V弾。本拠地お立ち台に今季初めて上がり、神妙に「そうですね…」と切り出しつつ、表情を切り替え「サイコーで~す!」といつものセリフで喜びを爆発させた。

 2打席続けてミスショットはしない。決勝弾は田口の低めスライダーを仕留めた。前の打席(三ゴロ)で打ち損じていた決め球だった。「(前の打席は)がっつきすぎた感じもあったけど、変えずにいこうと思っていった。本塁打になって良かった」。勝負を分ける場面でしっかり捉えた。

 母の日バージョンとして、ピンクのリストバンドを左腕に着け、登場曲もAIの「ママへ」に変えて打席に入った。お立ち台で「ここまで育ててもらって、ありがとうという気持ち」と感謝の言葉を口にした。東京にいる母貴美江さんへ、成長した姿を届ける最高のプレゼント弾だ。両親が全国で2番目に多い姓「鈴木」ではなく、名前で呼んでもらいたいとつけた「誠也」の名。「4番誠也」がチームを本拠地7連勝に、3カードぶりの勝ち越しに導いた。

 緒方監督も「4番打者がしっかりとまた仕事をしてくれた」と最敬礼。鯉には4番を張る頼もしい孝行息子がいる。【前原淳】