注目左腕の仙台・佐藤隼輔(3年)が、プロ9球団から熱視線を浴びた。4人態勢の地元楽天と巨人を始め、19人のスカウトが集結。ドラフト候補の仙台育英・西巻賢二内野手(3年)に2安打を浴びるなど0-7の7回コールド負けに終わったが、2回には日本ハムのスピードガンで自己最速を1キロ更新する144キロをマーク。高い素質をうかがわせた。

 佐藤隼が投げ込む糸を引くような直球に、プロ9球団19人のスカウトは胸を躍らせた。180センチ、77キロの均整のとれた体をスムーズに使った癖のないフォームで、テンポよく腕を振り下ろす。2回には144キロをたたき出し、自己最速を1キロ更新。4回まで強豪仙台育英を無得点に抑え、日本ハム大渕隆スカウト部長は「左腕のしなりが抜群。投球センスもある」と評価した。

 パでは日本ハムの他に地元楽天、ソフトバンク、西武、オリックスが集結。4人態勢の楽天上岡良一マネジャーは「体の軸がしっかりしている。ポテンシャルが高い」。セは巨人、DeNA、阪神、中日が集まった。佐藤隼は5回に5安打で5点を失うなど、結果は7回コールド負け。それでも、4人で見守った巨人の柏田貴史スカウトは「ここまで高いレベルだと、打たれたのは関係ない。夏まで追いかける」と話した。

 佐藤隼は「スカウトが来ているのは分かっていた。力みはなかったけど、直球の指のかかりが悪かった」と振り返った。4月の中部地区予選では仙台育英に7回まで点を許さなかったが、その時に有効だった低めのスライダーを見切られ、甘く入った直球を痛打された。自己最速更新も「シードをとるための春。負けたら意味がない」と肩を落とした。

 それでもこの夏、注目選手の1人になったのは疑いない。一方で、進路は夏が終わるまで封印となりそうだ。注目を浴びる前から大学進学を考えていた佐藤隼は「進学を前提に考えて、プロに行ければ」と慎重だ。7月14日の夏開幕まで約1カ月半。ノーシードで臨む夏の活躍次第では、プロ入りも視野に入ってくる。【高橋洋平】

 ◆佐藤隼輔(さとう・しゅんすけ)2000年(平12)1月3日、山形県生まれ。愛子小4年から野球を始め投手一筋。同6年からリトルリーグの折立スパローズに所属し、全国選抜大会優勝。広瀬中では軟式野球部で東北大会準優勝し、宮城県選抜。仙台では2年秋からエース。180センチ、77キロ。左投げ左打ち。家族は両親と姉。