左太もも裏肉離れで戦線離脱している日本ハム大谷翔平投手(22)が28日、リハビリ中とは思えない規格外のパワーを披露した。2軍本拠地の千葉・鎌ケ谷で2日連続の屋外フリー打撃を行い、右中間後方の防球ネットを越える約130メートルの特大場外弾をファンの車に直撃させた。38スイングで11本の柵越え、場外弾は3本放った。3日連続で視察したドジャースのゲーレン・カー編成部長も驚きの飛距離は健在で、戦列復帰へ明日30日からスパイクでのダッシュに取りかかる。

 手応え十分の感触とともに、大谷は打球の行方を心配した。角度、速度も抜群の放物線を見ながら「やべぇ」と、つぶやいた。右中間後方の防球ネットを軽々と越えた打球は、球場外周道路沿いに駐車されていたファンの白いミニバン車の屋根に直撃。その直後、口を開けて驚きの表情を見せた大谷は、打球方向へ向かって即座にヘルメットを取って深々と頭を下げて謝罪した。

 推定130メートルの特大場外弾がマイカーに“被弾”した持ち主に、怒りや落胆はない。むしろ喜んだ。千葉・柏市在住の会社員・佐藤さんは「車を止めた時に翔平君の打球が当たる可能性があると思った。ラッキーです」と笑顔。直撃した部分は少しへこんだが「お金をかけて、翔平君のへこみを直す必要はないかな」と、修理せずに乗り続けることを検討するという。

 意図的ではないが、大谷がリハビリ中ながら放った規格外のアーチは、思わぬファンサービスにもなった格好。その後も2発場外へ運ぶなど、38スイングで11本の柵越え。再開2日目の屋外フリー打撃は衝撃的だった。この日はド軍のカー編成部長が3日連続で鎌ケ谷を訪れていた。内野スタンドから見守り、場外弾には「大きかったね」と目を丸くし、離日前最後の視察を終えた。

 交流戦期間中にも打者として復帰する可能性がある大谷は、現状について「いろいろ試せると思いますし、もう(成績で)守る数字もない。自分のやってきたものを復帰した時に出せるように頑張ります」と、力を込めた。明日30日からはスパイクを履いて、ダッシュに取りかかる。待望の復活まで、あと少しだ。【木下大輔】