2夜連続でサヨナラじゃ~! 広島が延長11回の死闘をサヨナラ勝ちで飾った。試合を決めたのは気合満点の会沢翼捕手(29)だ。延長11回1死二塁から高めの直球を右中間に運んだ。この日、35歳の誕生日を迎えた、胃がんからの復帰を目指す赤松真人外野手にウイニングボールを渡すことも明言。優勝へのマジックは一気に10まで減らし、勢いのまま一丸で進む。

 勝負を決する2球前。体の前を通るボールを、会沢は転げながらよけた。だが茨城・水戸短大付時代に短ランボンタンで慣らした男は「内角は(死球を)もらえばいい」と恐れない。そして7球目。再び思い切り踏み込んだ。外角の150キロをジャストミート。打球は右翼糸井の頭上を越えた。二塁手前で仁王立ち。歓喜の水を全身で浴びた。

 逃げない、恐れない。今季すでに受けた3戦連続を含む6死球からだけではない。不振や、配球に対する批判の声。置かれた状況すべてに立ち向かう。「ストレスは現代人がつくった都合のいい言葉」と笑顔で言う。さらに独特の表現で「戦国時代にストレスなんて言葉はない。そんなヤツはすぐに斬られる。生きるか、死ぬか。その世界にストレスは関係ない」と続ける。覚悟を決めて立ち向かい、阪神石崎を斬ってみせた。