DeNAが延長10回2死一塁、ネフタリ・ソト内野手(29)のサヨナラ2ランで最下位を脱出した。

負ければ自力CSの消える窮地で、アレックス・ラミレス監督(43)の采配が、ことごとく裏目に出た。負の流れの中、宮崎敏郎内野手(29)とソトの打撃が、同監督の采配ミスを帳消しにした。3位巨人とは1・5ゲーム差。3年連続CS出場に望みをつないだ。

本塁打の力が、ラミレス監督のミスを帳消しにした。宮崎は8回、阪神藤川の初球、148キロの直球を右方向に大ファウル。わずかに右翼ポールをそれた。カウント2-2。内角低めに入ってくるフォークボールを今度は左へ。「フォークだったんで、何とかバットに当てようと。ファウルだと思ったけど(打球が)戻ってきてくれてよかった」。充満する暗雲を同点ソロで振り払った。

ベンチで誰よりもガッツポーズを決めたのはラミレス監督だった。3-3の7回の攻撃、2死三塁で同監督は、その回から中継ぎ登板しているパットンを、そのまま打席に送り込む奇策に出た。だが、カブス時代16年メッツ戦以来2年ぶりの来日初打席では、藤川の球は打てっこない。空振り三振で無得点。絶好機を逃した一方で、イニングまたぎを託し、抑えて欲しい8回につかまった。一時勝ち越しを許す悪い流れだった。

前日には22年ぶり20失点という歴史的大敗。中継ぎ投手陣の疲弊に不安を抱え、パットンに2回を託すプランだった。「満塁なら代打と決めていたが。私のミスとしては(永池)三塁コーチにパットンが打席に立つことを伝えていなかったこと」。前打者伊藤の右飛で、三塁走者ロペスはタッチアップで走らなかった。同コーチもロペスも代打が出ると思っていたからだ。

最後は延長10回ソトの劇的サヨナラ2ランで幕を閉じた。同監督は「ミスをすることもある。監督はそこで責任を取らないといけない。これも試合の1つ」と潔く認めた。現役時代から1発の重みを知る指揮官が、本塁打に救われチームは最下位脱出。ヒーローとなったソトは「ポストシーズンに出ることは野球人のやりがい」とCSへ意欲を示した。本塁打の力は、3位巨人の背中をもとらえた。【栗田成芳】