大黒柱復権だ。広島大瀬良大地投手(27)が8回まで今季最多となる127球を投げ、ロペスに浴びたソロ本塁打による1失点に抑えた。16勝目こそならなかったが、防御率は2・53に良化し、リーグ2位に浮上。自身2連敗の悔しさを吹き飛ばす熱投で、勝利に貢献した。チームはいよいよマジック1。今日24日、自力で球団初の3連覇を決める!

復調を示す127球だった。中7日で先発の大瀬良は8回まで今季最多の球数を投じ、1失点の熱投を演じた。4回にロペスに先制ソロを浴びても動じない。気持ちを切り替え、丁寧な投球を心掛けて追加点を許さなかった。勝ち星を得ることはできなかったものの、チームの勝利に貢献。マジックは1となり、今日24日にも自力で優勝を決められる。

前回登板まで2連敗で迎えた。柱となる覚悟を決めた右腕にはふがいなさしかなかった。「自分のやりたいようなフォーム、球の精度、マウンドでのメンタルが思うようにできていなかった。気持ちを入れすぎないように意識した」。足もとを見つめ直し、打者1人1人に集中した。

ウオーミングアップ時にヤクルトの勝利を知った。「勝てば優勝」の重圧が消えても、心は熱く冷静に-。「やることは変わらない。そこに左右されずマウンドに立てた」。気持ちの安定も前回登板までの課題だった。先制弾を浴びた後も粘り強く、追加点を許さなかった。

今季6度目の対戦となるDeNA打者のイメージは頭にあった。今季から登板前日に、対戦打者への投球をイメージしてノートに記している。登板前のブルペンではクリーンアップまでの打者を想定して20球を投じて試合に臨む。試合が終われば、初球と勝負球をノートに残し、次回対戦に生かす。もちろん映像も見返す。急成長は一朝一夕で成し得たものではない。

球数が120球を超えた8回2死から筒香に四球を許しても「甘くなって1発を食らうよりも、ロペスは外の球に合っていなかったから」と切り替えられた。反省と気付きの積み重ねが今季の成長を促している。投手陣の先頭に立って引っ張ってきた右腕が、3連覇へのマジック1に導いた。緒方監督は「ナイスピッチング」とたたえた。優勝を目前に復調気配。「明日以降は応援して、その瞬間を待ちたい」。さわやかな大地スマイルも復活だ。【前原淳】