変わらない男が楽天を変える。西武からFA移籍した浅村栄斗内野手(28)が、貫禄たっぷりに新天地でキャンプインした。

フリー打撃で8本の柵越えを披露し、1日の締めは50分近いロングティー。角度をつけた打球が次々とフェンス上部に張られたネットを越えた。「体全体を使って振り、打球にいいスピンをかける。キャンプでずっとやってきた、自分の中で一番いい練習。チームは変わっても、そこは変わらない」。クリムゾンレッドのユニホームこそ渡辺直に「ガラッと変わったな」といじられたが、調整はぶれない。

戦力としてはもちろん、存在自体がチームに好影響をもたらす。ノックで浅村とともに二塁を守った村林は、オフにはソフトバンク今宮へ弟子入りした高卒4年目の遊撃候補。「今年に関しては二遊間どちらかではなく、遊撃で勝負」と口にする。浅村が不動の二塁に君臨することで、選手は限られたポジションを奪うべく執着心を一層むき出しにする。

昨季最下位の球団にとって、最もホットな話題でもある。久米島にいる9日までだけでも、浅村への個別インタビュー依頼が15件ほど殺到しているという。球団広報も「(宮城出身の)岸が入った時も盛り上がったけど(田中)将大以来じゃないかな」と注目度の高さに目を丸くする。

渡辺直や岸が間に入り、既に嶋ら生え抜きの主力とも食事に出かけた。主将の銀次も「アサ、めっちゃいいヤツですよ」と話すなど、スムーズにとけ込んでいる。「去年以上の成績を残す。ライオンズを倒して優勝したい」。真っ正面から重圧を受け止め、頼もしく宣言した。【亀山泰宏】