巨人が一部選手と、契約金の「最高標準額」として球界で申し合わせた1億5000万円(出来高払い5000万円を含む)を超える契約を結んでいたことが15日、分かった。関係者が明らかにした。ドラフトで大学生や社会人の有力選手が入団先を選べる逆指名制度や自由獲得枠があった1993~2004年に、制度を利用して入団した選手とみられる。

 朝日新聞は15日付朝刊で、高橋由伸選手、阿部慎之助選手、内海哲也選手、野間口貴彦選手のほか、米大リーグに移った上原浩治選手と日本ハムに移籍した二岡智宏選手の契約金が最高標準額を超え、6選手で計36億円だったと報じた。

 巨人の桃井恒和球団社長は東京都内で報道陣に対応し「(最高標準額は)目安であって上限ではない。ルール違反は一切なかったというのが球団の認識」と反論した。巨人は同紙に抗議書を送り、報道を「極めて不公正」「選手や球団の名誉を著しくおとしめるもの」とし、球団や各選手への謝罪と紙面での謝罪文掲載を求めた。書面到達から5日以内に誠意ある回答がない場合は法的措置を取ることを示唆した。

 関係者は最高標準額について「優秀な選手にそれ以上の提示をすることはあったようだ」と語った。別の関係者によると、標準額を超える分の契約金は複数年に分けて支払われ、入団時に設定したノルマを達成しない場合は支給されなかった。

 最高標準額は93年の逆指名導入の際、1億円とすることで12球団が申し合わせた。アマチュア選手への利益供与禁止を申し合わせた05年の「倫理行動宣言」以降、巨人では標準額を超える契約はないという。

 過去には、西武で94~05年に計15選手へ最高標準額を超える契約金、総額11億9000万円が支払われたことや、横浜(現DeNA)が05年に入団した那須野巧選手に5億3000万円の契約金を支払ったことが判明した。両球団には厳重注意処分が科された。