ソフトバンクが傘下のプロ野球ソフトバンクホークスの本拠地ヤフードームを買い取ると、24日に発表した。870億円という巨額の買収劇は、チームの戦力強化や球団が掲げる「地域密着」にも好影響を与えそうだ。

 ヤフードームにおける2011年の主催公式戦の観客動員数は約223万人で、稼働率は平均86%と12球団1位。関係者によれば、昨年の収入は約260億円で、米大リーグのチームと比べてもトップクラスという。

 それでも、球場を所有するシンガポール政府投資公社(GIC)グループに支払っていた年間使用料約50億円は、経営の大きな足かせだった。球団関係者は何度も「あの使用料が少なければなぁ…」とぼやいていた。

 ファンサービスの面でも利点は大きい。これまでGICの許可が必要だった改築も、より機動的に行うことができるようになった。ある関係者は「借り物じゃなくなったのが大きい」と声を弾ませる。球団は昨年、地域活性化などを目指して福岡市と包括連携協定を締結、2軍が使用する雁の巣球場の整備を進めている。1軍の本拠地も有効活用できるようになり、地域密着への方策も、さらに取りやすくなる。

 ファンには負担減による強化費アップへの期待もある。福岡県糸島市の富村誠さん(68)は「生え抜きの選手が(他球団や米国に)行かないようにしてもらいたい」と魅力あるチームづくりを望んだ。