<オープン戦:中日4-0巨人>◇18日◇東京ドーム

 生き残りをかけたオレ竜投手陣が、巨人打線相手に「完封リレー」を演じた。先発川井から吉見-菊地-小林-中里と5投手が主力のそろった最強打線をわずか3安打に封じ、4ー0と快勝した。中でも先発ローテ入りを狙う吉見一起投手(23)は、2番手で登板して3回無失点。オープン戦の連続イニング無失点を15に伸ばしたが、まだ先発当確ランプは灯らない。層の厚い投手陣の激しい競争で、首脳陣はぜいたくな悩みを抱えることになった。

 最強打線を相手に、1軍切符をかけている5人による完封リレーで快勝した。試合後、森バッテリチーフコーチは「1軍(主力)投手と全員入れ替えるか?

 」。もちろん冗談だが、当落線上の選手たちが最高の結果を出したことによる“うれしい悲鳴”だった。

 まず巨人の出ばなをくじいたのは先発した左腕・川井だ。初回、小笠原を内角直球で見逃し三振。3回2死満塁のピンチも小笠原を外角変化球で見逃し三振に仕留めるなど、3回を1安打無失点。特に左打者への内角球が効果的で、外角への変化球が威力を増した。

 そして2番手はオープン戦防御率0・00の3年目右腕吉見。4回からマウンドに上がると、まず4番・李を内角へ沈むスライダーで三飛、5番ラミレスを直球で三振に仕留めるなど順調に滑り出した。5回に2死からの四球でこの日、初めての走者を出すと、打席には高橋由。「ホームランの可能性もありました。でも攻めるんだと思って力いっぱい投げました」。カウント2-1と追い込んだ後に内角高め144キロストレートで空振り三振。スライダー、シュートなど多彩な球種を操るが、ここ1番に直球で勝負できるようになったことが頼もしかった。

 吉見はこれでオープン戦3試合で15イニング連続無失点。巨人に対してはバットを3本へし折った5日ナゴヤドームでのオープン戦も含めて8イニング無失点だ。「巨人打線はすごいと思いますが、シーズンで対戦する相手ですし、少しでも嫌な印象を与えたかった」。巨人に対して“難敵”という印象を2度の好投で強烈に植え付けた。

 7回からは左腕菊地が2回を1安打無失点。最終回は左腕小林が2人を料理し、最後は中里が代打清水を投ゴロに打ち取って完封リレーが完結した。

 これで吉見の第5、第6の先発入り、川井、菊地も開幕1軍入りの希望がまたふくらんだ。「まあこっちにも事情がある。3イニングしか投げていない。まだ先がある」。森コーチは吉見の先発ローテ入りは答えを保留。質、量ともにリーグトップの投手陣をどう選択し、起用するのかー。オレ竜にとって最大の強みでもあり悩みでもある。この日の勝利で、強力打線を誇る巨人との戦い方が見えた。【鈴木忠平】