<広島1-0巨人>◇19日◇広島

 39歳の広島高橋建投手が、2リーグ制後の巨人戦最年長完封勝ちを記録した。絶妙な制球で手玉にとり、102球、被安打5で1-0。今季2勝目でチームの連敗も4で止めた。高橋の完封は03年4月13日中日戦(ナゴヤドーム)以来1833日ぶりで通算8度目。お立ち台では「長かった」と目を潤ませた。

 最後の打者、小笠原の打球をレフト天谷がグラブに収めた。マウンドに祝福の輪ができる。その中心には4月16日に39歳になったばかりの高橋がいた。「最後まで、投げさせてくれたことに感謝したい」。チーム最年長左腕は、お立ち台で目を赤くした。巨人戦最年長となる完封劇。ベテランの記録的な熱投だった。

 走者を出しても落ち着いて、ベテランらしい投球をみせた。最速145キロの直球と多彩な変化球。すべての球種が思い通りにコントロールされ、凡打の山を築く。3回無死一塁では古城、4回無死一、二塁では小笠原をともにスライダーで二塁併殺。「この(狭い)球場での巨人打線は実際怖いけど、倉のリードが打者に的を絞らせなかった」と女房役に感謝した。小林投手コーチは「すきのない投球。言うことないです」と大絶賛した。

 「完投も完封もしたことはある。でもその味は忘れてたかな…」。前回03年4月の中日戦の完封は覚えていないという。05年には左ひざを手術し未勝利に終わった。一時は引退も考えた。06年は中継ぎで54試合に登板。昨年は先発として5勝を挙げた。「長かった。でも復活できるという気持ちだった」と声を時折詰まらせながら、2万人の大喝采を浴びた。

 高橋は「佐々岡超え」を目標に置く。勝ち星でなく、年齢の話だ。通算138勝を挙げ昨季限りで引退した佐々岡真司氏(現野球解説者)は40歳まで現役をまっとうした。高橋はこの日で通算60勝。39歳の誕生日を迎えた16日に「佐々岡さんに勝てるのは年齢しかない。ちょっとした自分の目標です」と笑っていた。

 39歳0カ月での完封は大野豊の41歳8カ月に次ぐ球団史上2番目。佐々岡の最後の完封は34歳7カ月だ。「佐々岡さんを抜いた?

 すごい投手だったので、近づけるのはうれしいことですね」。チームの連敗も4で止めた左腕は、うれしそうに笑った。【網

 孝広】