<ヤクルト2-4中日>◇27日◇神宮

 こん身のフルスイングから生まれたラインドライブは、低い弾道で右翼席に突き刺さった。見届けた森野は、一塁ベース手前で走るスピードを緩めた。2回無死一塁で放った先制7号2ラン。「(ボールが上に)上がらなかったので、まさか入るとは思わなかった」。打った本人もビックリの圧巻アーチだった。

 17打点、打率3割3分とあわせ、チーム3冠だ。シーズン144試合に換算すると40本塁打、97打点ペース。ここまでの25試合で安打が出なかったのはわずか4試合と、安定感も際立っている。「(チーム3冠は)意識してないですけどね。バットは確かによく振れていますけど」。たんたんとした口調に充実ぶりをにじませた。

 昨年は目標に3割、20本塁打、100打点を掲げたが、2割9分4厘、18本、97打点といずれもわずかに及ばなかった。今年はキャンプ前半に左手中手骨を骨折し、目標は「開幕に間に合わせること」にトーンダウン。それでも驚くべき回復力で開幕スタメンに名を連ね、自己ベストペースで飛ばしている。用心のため手首へのテーピングを続けているが「ぜんぜん痛くない」と言い切る。

 主軸で点が取れなくても6番森野、7番中村紀、8番谷繁と続く打線は脅威。「2つ目のクリーンアップ」で、森野が存在感を見せつけている。【村野

 森】