<横浜2-19阪神>◇3日◇横浜

 葛城&庄田の脇役コンビが、五輪コンビ、新井&矢野の穴を埋めた。序盤は「恐怖の下位打線」として機能した。初回。2死二塁から4番金本は敬遠気味の四球。5番関本も4球連続ボール。クリーンアップとの勝負を避け、ピンチをしのぐ-、そんな横浜の計算を狂わせたのは6番葛城育郎(30)だ。「後半戦初戦だし、先制点が欲しかった」。2死満塁から、右翼フェンス最上部に届く先制3点二塁打で、打線に点火した。

 3回は4点目を奪い、なおも2死一、二塁。ここで7番庄田隆弘(28)の左中間への平凡な飛球を、左翼ビグビーと中堅小関がお見合い。2者が生還し、記録は二塁打となった。下位打線からの得点が続き、横浜真田はボロボロに。庄田は「あの1本目が大きかった」とニヤリ。波に乗り、3打席目以降も大爆発だ。

 6回からチャンスメーカーに転身。先頭で左前打を放ち、この回3得点の口火を切る。7回は葛城とタッグを組んだ。先頭葛城の中前打に続き、三塁内野安打を放ち、この回7得点を呼び込んだ。庄田は8回にも右前打。5試合ぶりのスタメンで、プロ初の1試合4安打をマークした。

 後半戦初戦。五輪代表の新井、矢野が正式にチームを離脱。「6番鳥谷」が「3番」に昇格した。その影響でクリーンアップ以降の得点力低下も不安視されたが、新井に代わる一塁葛城、そして庄田の2人で6安打5打点の活躍だ。6、7番が切れ目のない打線を演出し、チームは今季最多の21安打19得点。五輪組不在でも、つなぐ強力打線の健在を印象づけた。

 試合前、庄田の母校・智弁学園が甲子園で初戦を突破した。それでも庄田は「勝った !? でも(自分は)それどころじゃない!」と、足早に練習へ。「後半戦は貢献したい」。主力が離脱する五輪期間をチャンスととらえる。どん欲な男たちが頼もしい。

 岡田監督も高評価。「右ピッチャーの時はあそこらへんを使う。(五輪期間の)14試合はそういう形になる」。これからも脇役コンビの出番が増えそうだ。【佐井陽介】