伝統の一戦、米国に輸出!?

 阪神が巨人との公式戦の米国開催を目指していることが8日、分かった。沼沢正二球団本部長(50)が実現に向けて前向きに動くことを明言した。日本やアジアの野球を本場米国に広くアピールする狙いがあり、巨人とともに日本球界をリードする立場にあることを認識して行動を起こす。早ければ2010年にも、米国のスタジアムに六甲おろしが響き渡る。

 野球発祥の地で、日本の「伝統の一戦」が繰り広げられる。阪神が巨人との公式戦を米国内で行う計画を進めていることが分かった。実現すれば、日米野球界に歴史を刻む夢プラン。連盟担当で実行委員会にも出席する沼沢球団本部長が前向きに話した。

 「個人的にはやってみたい。野球の本場の米国に、日本の野球チームの存在を示すことができる。その意気込みを示すことは大事なこと」

 阪神が米国に目を向けるのは、05年からシーズンオフに実施されているアジアシリーズの活性化も狙いにある。「うちはアジアシリーズが盛り上がるよう力を入れている。米国を巻き込んでいくのは、そういうことにつながる」。当初はワールドチャンピオンとの「世界一決定戦」も指向された同シリーズは、今のところ、オフのイベントの1つにとどまる。まず日本のプロ野球を米国で行うことで、アジアと米国の架け橋となる考えだ。

 構想段階ながら、相手は盟主巨人をおいて他には考えられない。「まず巨人と阪神が動かないことには」と沼沢本部長も立場を認める。04年と08年にメジャー公式戦が東京ドームで行われた際には、両球団がオープン戦の対戦相手を務めた。膨大な経費を観客動員や放送権料などでまかなうことを考えれば、米国興行が成立するのはTG戦以外には難しい。

 「主催を1試合ずつにするのか、どちらかの2試合主催か。球場はどこがいいのか。日本人が多くて気候がいいところとなれば、やっぱり西海岸か。いろいろ決めないといけないことはあるけど、再来年以降で可能であれば」。

 沼沢本部長の夢は広がる。来年の第2回WBCの決勝戦に決まったロサンゼルスのドジャースタジアムや、イチローの活躍でなじみの深いシアトルのセーフコフィールドあたりが候補地となるか。3年ぶりのリーグ優勝へ猛進する阪神が、アジア制覇の先に米国進出の野望を温めている。