<ロッテ12-6ソフトバンク>◇14日◇千葉マリン

 初采配となったソフトバンク秋山チーフコーチは王監督に勝利を報告できなかった。指揮官の休養で急きょ、監督代行を務めた。試合前のミーティングでは「いつもと同じようにやってくれ」と選手たちを送り出したが、今季ワースト2位タイの12失点で完敗。普段は王監督がいるはずのベンチの右端で立ったまま戦況を見守ったが、突然別人と化した新垣が6回5安打2被弾8失点で試合を崩す形となった。

 昨年25暴投の日本記録を更新するほど苦しんだスライダーの制球難を今季も引きずった。2度2軍に降格し、この日が67日ぶりの復帰戦だった。抜群の切れ味を取り戻したスライダーで3回まで完全投球を演じながら、4回に変身した。

 先頭の早川の投ゴロを一塁へ悪送球。この“暴投”を引き金に制球を崩し、2ラン、満塁弾などで今季チーム最多の1イニング8失点。走者を出してから投球リズムが完全崩壊した。「セットポジションになって投げ急いで、甘くなった。それ以外は良かった?

 そうですね」と新垣。5、6回も再び完全投球だっただけに、秋山コーチは「難しいなあ。渚君(新垣)ねぇ。あの回だけだった」と首をひねるしかなかった。

 今回の9連戦前、王監督は1軍復帰した新垣について「自分の持ち味を出して、おれがやるんだ、というくらいの気持ちでやってほしい」と期待を込めていた。今季未勝利の新垣は「自分が任されるのは抑えることだけ。監督に心配をかけない投球をするだけでしたが…」とうつむいた。首位西武と再び6・5ゲーム差に広がる、苦い黒星となった。【押谷謙爾】