<ヤクルト3-8阪神>◇5日◇神宮

 阪神藤川が2点リードの8回から登板し、2回をピシャリ抑えた。阪神はヤクルトを下し、0・5差の単独首位を守った。

 9試合連続登板で、4年連続60試合登板は鉄腕稲尾ら史上4人目。まさに、神様、仏様、球児様だ。

 藤川は9回表、バルディリスの3ランでリードは5点差に拡大しても当たり前のように、マウンドに向かい3者凡退に片づけた。

 藤川

 あと5試合でしょう。(2イニング目も)大丈夫。そのあと休めるからね。オレらはやるだけ。頑張るだけやからね。

 投球術が凝縮されたマウンドだった。8回2死、田中浩に対し、普段よりも腕を下げた投球フォームからの速球を投げ込んだ。田中は面食らって見逃した。バスへの引き揚げる際、中西投手コーチからも「サイド(スロー)、もっとやれよ!」と声が飛んだ。緊迫した試合で、新境地の投球スタイルを見せるところに藤川のすごみがある。

 この日は試合の中盤から雨が降りしきった。「(雨なら)それなりの投げ方がある。バッターも下(打席の足元)が悪い。タイミングを外したりできるからね」。クレバーな一面だ。

 岡田監督も球児のフル回転に感謝した。「アッチソンがもったいなかった。あれを切れたら、8回をジェフでちょうど(藤川は)いい打順(9回にクリーンアップと対戦)だったんだけど。みんな1回ずつのつもりだったけど。もっと早い回に点を取れば、球児も休ませられるよ」。指揮官の青写真が狂っても、守護神の力量でカバーする。チームを底支えする存在として、単独首位の座を死守した。【酒井俊作】