<CS第1ステージ:阪神0-2中日>◇18日◇第1戦◇京セラドーム大阪

 阪神藤川の力投は、またも実りなきものに終わった。2点を追う9回表。CS初登板で格の違いを見せた。先頭和田を速球主体で攻め立て、最後は外角へ。ハーフスイングの三振を奪った。2死後、死球を与えるが、最後は谷繁を内角ストレートで空を切らせた。それでも打線の反撃は及ばず、白星に結びつかなかった。

 この日は英子夫人ら家族が京セラドーム大阪で試合を観戦。気合を込めてマウンドに上がった。帰り際に「また明日、頑張ります」と言い残して車中へ。昨季のCS中日戦は序盤に大差をつけられ、登板することなく、敗退を見届けた。今年はビハインドの場面でもスキを見せず投げ切った。

 公式戦終了後には、V逸の責任を取って岡田監督の辞任が決定した。藤川のルーキーイヤーには2軍監督だった指揮官だけに、退任には「監督以上の監督がおるんかなというのが、いまの気持ちです」と複雑な心境を明かした。球界屈指の救援投手に育ててくれた恩義がある。CSを控え「(監督に)ついて行くだけ」とも話した。1日も長く共に野球をするためにも、負けた悔しさは、19日の第2戦で晴らすしかない。

 追う展開が多く、守護神として白星を運ぶ本来の仕事を果たせていない。シーズン終盤になってから、ビハインドの展開で登板するケースが目立つ。久保チーフ投手コーチも「球児を負け試合で投げさせるのも忍びないし、本意じゃない。先発投手に勝ちをつけて、抑えにセーブを付けられれば」と話す。リリーフエースがセーブを付け、岡田監督の花道を華々しく飾りたい。【酒井俊作】