元トラ戦士が競輪で五輪を目指す!

 阪神萱島(かやじま)大介2軍用具担当(28)が年内いっぱいで退団し、競輪選手を目指すことが1日、分かった。「甘くないのは分かっているけど、オリンピックを目指して頑張ります」と意欲を語った。

 年明けから地元大分の別府競輪場で本格的なトレーニングを開始する予定。来年4月の日本競輪学校(静岡県)1次試験、5月の2次試験に合格すれば、晴れて11月に入学となる。早朝6時半起床で夜10時に消灯。テレビ、電話の使用も制限される厳しい環境で、競輪選手への道を歩む。

 萱島は02年にドラフト11巡目で阪神入団。50メートル5秒7の俊足に期待が集まったが、在籍4年間で1軍出場はゼロ。06年オフからは2軍用具担当に転身したが、今年5月ごろ、燃えたぎるアスリートの血を抑えきれなくなったという。「何かに挑戦したいと悶々として…。人生は1度きりだし、後悔したくなかった」。7月からスポーツジムに通い始め、週3回、約2時間のトレーニングを続けた。通常の業務後、鳴尾浜で走り込んだ成果もあって、体重も74キロから7キロ増加した。

 日本競輪学校の調べでは、プロ野球から競輪に転身した選手は現役、競輪学校生も含めて計10人。萱島のようにブランク明けの挑戦は異例といえる。V9時代の巨人に在籍した西野忠臣氏が特別競輪で走ったことがあるが、全選手が成功した訳ではない。それでも萱島は「(プロ野球からの転身組で)第一人者になりたい」ときっぱり。競輪関係者によると、約3600人いる競輪選手の中で、五輪出場できるのは5人前後。萱島が2016年五輪を目指し、高く険しい壁に挑む。【佐井陽介】