炎に誓ったWBC出場-。広島の石原慶幸捕手(29)が17日、合同自主トレに合流した。16日まで鹿児島・最福寺で護摩行に挑んだ。燃えさかる炎と格闘し精神を鍛えてきた。WBC日本代表候補に選出されている石原は2月16日から宮崎代表合宿に参加する。「選んでもらったからには、全力で準備をする」と意気込みを語った。

 やけどのあとが痛々しかった。のどもやられ、声はしわがれて、振り絞るようにして話した。16日までの4日間、鹿児島・最福寺で護摩行に臨んだ。昨年は2回だったが、今年は合計5回、1回1000本単位の護摩木を燃やした。炎が2時間も燃え続けるという荒行だ。昨年の“倍以上”の苦しみに耐え、広島に戻ってきた男は「自分は精神的に弱い。自分に負けてしまったら体も動かない」と修行に挑んだ理由を説明した。

 前日16日、日本代表を率いる原辰徳監督が、暫定ロースター名簿を米国のWBC事務局に提出した。33人の中には石原の名前もあった。少数精鋭の宮崎合宿は2月16日から始まり、最終的に28人に絞られる。「WBCは、本当に自分の名前が挙がると思ってなかった。選んでもらったからには全力でやる。万全な準備をしたい」。

 合宿ではシ烈な最終ロースター争いが繰り広げられる。ライバルはマリナーズ城島、巨人阿部、西武細川。「決めるのは原監督ですから。競争というより、自分のやれることを精いっぱいやります」。北京五輪は1次候補に選出されたが、最終的に残れなかった。今度こそ日本のために戦いたい。

 最福寺の池口恵観法主(72)からは「気持ちで負けたら体も動かない。気持ちをしっかり持って頑張りなさい」と助言をもらった。「護摩行はキツかったです。でも、自分が決めたことですから。業(ごう)をすることによって少しでも足りないものを補いたかった」。

 昨年は4年ぶりに出場100試合を超え、自己最多の50打点を挙げるなど充実したシーズンだった。それでも満足するわけにはいかない。「打撃部門は、去年を全部上回りたい」。心の鍛錬の成果を国際舞台で、シーズンで見せつける。【網

 孝広】

 [2009年1月18日12時20分

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