<横浜1-7日本ハム>◇29日◇横浜

 日本ハム中田翔内野手(20)が、ハマの番長をKOするプロ初長打を放った。29日の横浜戦(横浜)、3点リードの7回に代打で登場。三浦から右中間へ二塁打を放ち、マウンドから引きずり降ろした。すぐに代走を送られたが、ラッキー7のビッグイニングを演出。3試合連続で1打席だけの出場となったが、うち2安打と勝負強さはアピール。怪物が打席に入る直前には、ルーキー大野奨太捕手(22)がパ・リーグ一番乗りアーチとなる2ランを放ち、チームは連敗を3で止めた。

 打席からマウンドを見つめると、自然と気持ちが高ぶってくる。視線の先には「ハマの番長」三浦。7回1死、中田はカウント1-2から、130キロ低めの変化球を右中間へはじき返した。初めての“番長対決”でプロ初長打となる二塁打。代走を送られてベンチに戻ると、先輩からのハイタッチ攻勢に表情を崩した。

 中田

 うれしかったです。体が開かずに右に押っつけながら打てた。強い当たりではなかったけど、良かった。

 「自分には似合わない」とリーゼントに挑戦したことはないが、おとこ気あふれる三浦は尊敬する存在。「自分は代打だから」と対戦をあきらめていたが、巡ってきたチャンスで結果を残した。「数少ないチャンスなので思いっきり振っていくことしか考えていない」と、攻撃的な姿勢で打席に向かう。代打で2打数2安打。「難しい」といいながらも結果を残している。

 23日のヤクルト戦でプロ初打席初安打。試合後、31件ものメール着信があった。友人や先輩、元チームメート。その1つ1つを開き、返信した。改めて周囲の期待を感じた。「もう2軍には戻らない」と、心に誓った。

 中田が打てば、打線がつながる。初安打の時も3得点につながった。24日の中日戦も一、三塁の好機をつくる起点となり、この日も連打が止まらず一挙5得点と試合を決めた。怪物のひと振りは、チームの雰囲気をガラリと変える。

 グラウンドを離れても同じだ。1軍昇格初日、同じ長距離砲のヒメネスと顔を合わせた。3月のオープン戦以来の再会だった。

 ヒメネス

 2軍でどれくらいホームランを打っているんだ?

 中田

 トゥエンティーワン!(実際には12本なのでトゥウェルブ)

 ヒメネス

 リアリー(本当なのか)?

 目を見開いて驚いた助っ人に、自信満々の態度。その光景を見ていた周囲は、一気に和んだ。後に「間違えました。12って英語で何でしたっけ?」と笑いを誘うなど、存在自体が周りのムードを変えている。

 連敗が3で止まった。梨田監督には「手首を返したらサードゴロになってしまうところを、強引ではなく右方向にね」と、力だけではない一打を評価された。30日は札幌に戻って阪神戦。怪物は再び地元ファンの待つ本拠地へ戻る。【本間翼】

 [2009年5月30日8時47分

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