<阪神1-6中日>◇15日◇甲子園

 中日和田一浩外野手(37)が4年ぶりの20号ソロをかっ飛ばした。2点リードの4回、阪神先発福原のスライダーを左翼ポール際にたたき込んだ。79試合目での20号到達は、02年の33本を超える自己最多36本ペース。37歳にして進化する5番打者に導かれ、チームは6試合ぶり2ケタ安打となる14安打で打ち勝った。2位ヤクルトが勝ったため順位は3位のまま。16日、あらためて4月27日以来の2位浮上を狙う。

 初球からいく。和田は最初から決めていた。2点リードの4回先頭の打席。真ん中低めのスライダーに体を泳がされたが、ギリギリまでヘッドを残し、ためた力を一気にはき出した。大きな放物線が左翼ポール際に飛び込むのが見えた。6月28日広島戦(マツダスタジアム)以来14試合ぶりのアーチは、4年ぶりの20号メモリアル弾。両手に残る感触をかみしめるようにゆっくりとベースを回った。

 自分に腹を立てていた。第1打席は2ボールから2球ストライクを見逃し、空振り三振に倒れた。「ボールが見にくくて、ピッチャーが投げたらすぐ手もとに来る感じ。次は積極的にいこうと思っていた」。狙い球はなかった。配球も関係なかった。自分のポイントに来た球をたたきつぶすことだけを考えていた。

 長いトンネルを抜けた。6月は打率4割1分5厘、6本塁打、15打点で、2度目の月間MVPを獲得した。だが、飛ばしに飛ばしたおかげで6月後半から深刻な疲労に悩まされた。3割2分台の打率は3割3厘まで落ちた。アルコールを受け付けないタイプ。睡眠時間をキープすることで、必死に体力回復を図ってきた。この日も9時間弱の睡眠で臨んだ。「7月は打率がよくなかったし、打てていなかった。苦しかった」と漏らした。

 79試合目での20号到達は02年の33号を超える自己最多36発ペース。進化の源は現状に満足しない向上心だ。西武からFA移籍1年目の昨年は打率3割2厘、74打点、16本塁打とまずまずの成績を残した。それでも「ぜんぜんダメでしょ」と打撃改造に着手。オープンスタンスの開きを抑え、足の上げ方も毎日変えた。「自己ベストより1本でも1厘でも1打点でも上にいきたい」。絶対に妥協しなかった。

 この日は4番ブランコが5打数0安打とブレーキになったが、そういうときこそ5番和田の出番だ。会心のアーチで勢いづけた打線は14安打6点と猛爆発。守護神岩瀬を温存したまま白星を手にした。依然として2位ヤクルトにゲーム差なしの3位。今日こそ79日ぶりの単独2位に躍り出る。【村野

 森】

 [2009年7月16日10時37分

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