<ヤクルト5-6中日>◇2日◇神宮

 巨人を追う中日が、4時間44分の死闘を制し2位を死守した。延長11回表2死満塁で、2番荒木雅博内野手(31)が左翼オーバーの走者一掃決勝二塁打。負ければ3位転落の危機を救った。

 荒木は「後悔したくなかったんで思い切って振ろうと思った。打った瞬間に『よし、抜けた!』と思った」と充実した表情を浮かべた。絶対に負けられない試合だった。前日までヤクルトに2連敗。このままシーズンが推移すれば、クライマックスシリーズでも対戦する可能性が高い相手だけに、3連敗だけは避けたかった。終盤、勝利の方程式を送り込んできたヤクルトに対し、中日も河原、パヤノ、浅尾、最後は岩瀬と総力戦で対抗した。

 32歳になる今季、荒木は“脱皮”した。昨年の得点圏打率は2割1分、満塁では2割7分3厘だった。ところが今季はこの日で得点圏は3割4分8厘、満塁では7打数5安打9打点、7割1分4厘とすっかり「満塁男」に変身した。

 首位巨人との差は再び1・5差。落合監督は「活躍した選手に聞きな」と淡々と球場を後にした。選手会長の荒木は「今日はいつも以上に負けられないゲーム。気持ちを入れていた。まだ先に勝負の時が来ると思うので、しっかりした野球をやっていきたい」と代弁した。その表情には心地よい疲労感が漂っていた。【鈴木忠平】

 [2009年8月3日8時37分

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