“沈まぬ直球”を取り戻した。阪神久保田智之投手(28)が15日、高知・安芸での秋季キャンプで、今キャンプ初の「おかわりブルペン」を志願して直球を生き返らせた。

 乾いたミット音が響き渡った。久保田が「生きたボールになってきた」とつぶやくと、久保投手コーチは「分かってても真っすぐで(勝負に)いけるよ」と絶賛。最後には「(ボールが)沈まんやろ。沈まぬ太陽や」と、現在上映中の映画をたとえに、最上級?

 の褒め言葉も飛び出した。久保コーチはポケットから携帯電話を取り出して、久保田のフォームを動画で収めた。「言うことなしや、もう」。成果が実った101球の1人ブルペンだった。

 10月21日からの秋季練習から、フォーム改造に取り組んだ。右肩痛で出遅れ、今季1試合の登板に終わったうっぷんを晴らすためにも変化が求められた。「頭がグチャグチャになるまで考えさせられたと思う」(久保コーチ)。故村山実氏や村田兆治氏らの投球フォームの写真を見て、イメージをわかせた。

 江草、筒井、渡辺に久保田を加えた4人は、この日がキャンプ最終日だった。午前中には75球を投げ込んだ久保田は、その後も30センチ程度の高さの左足を乗せて約500球のネットピッチングを敢行。さらに志願のブルペンでようやく成果が見えた。久保コーチは「今日の感覚なら変化球とかフォークを投げる入り口になった」という。久保田は「最後にできてよかった」と胸をなで下ろした。鉄腕がようやく復活の手がかりをつかんだ。【鎌田真一郎】

 [2009年11月16日11時30分

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