西武ドラフト1位の菊池雄星投手(18=花巻東)が16日、潮崎哲也投手コーチ(41)の初「視察」を受けた。西武第2球場での新人合同自主トレで、2日連続となるブルペンでの投球練習。捕手を立たせたまま32球を投げ込んだ怪物左腕に対し、同コーチは「壁にぶつからない限りは我流が一番」と、放任主義とも言えるエース育成プランを明かした。

 潮崎コーチは、もうすぐ愛弟子となる高校生を見ていた。菊池が投じた32球のうち10球だけだったが、初めて見るそのボールを目に焼きつけていた。言葉は交わさなくても、師弟タッグが“結成”された瞬間だった。菊池は「これからずっと見ていただく方。隣にいるのは分かっていたけど、よく見せようとか考えずにできた」とうれしそうだった。

 潮崎コーチは「誰もが認めるいい素材なのは間違いない」とうなずいた。途中で見るのをやめたことは「先入観が入るのをやめようと思って」と説明。そしてキャンプでの育成プランの一端を明かした。「基本的にピッチャーは、周りからああだこうだと言われるのがいや。壁にぶつからない限りは我流が一番。こっちはブレーキを踏むだけ」。調整ペースなどは本人に任せ、オーバーワークに気を配る。菊池が何か聞いてくれば答え、聞きやすい環境作りもするが、自分から口出しはしない。金の卵は、放任主義でエースに育てていくつもりだ。

 来月1日のキャンプ初日から捕手を座らせて投げ込む意欲を見せていることには「仕上がればすぐ実戦?

 当然そうなるでしょう」と早期デビューを予告した。菊池も「できるだけ早く実戦で投げたい。ブルペンでキャッチャーに何十球投げても自己満足なので」と意欲満々だ。

 怪物左腕は目下フォーム改造中だ。ブルペンでは連日、従来のスリークオーターのフォームより高い位置で腕を振っている。潮崎コーチも「いい悪いはないけど、甲子園の時より高いイメージがある」と話していたが、菊池は「今の角度でいいんじゃないかと思います。これまでは腕だけ上がって体が倒れてなかったけど、今は両方いい感じです」と、ビデオでチェックもして手応えを感じている。18歳にすべてが任されるのも、この研究熱心さがあればこそ。師の教えを請う日まで、弟子は自分の信じる道を行く。【亀山泰宏】

 [2010年1月17日9時11分

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