中日の新外国人、エドワード・バルデス投手(30=ロッキーズ3A)が17日、三星(韓国)との練習試合に先発。3回を投げ2失点(自責1)ながら、最速145キロのカットボールで視察に訪れた巨人と阪神の「007」に警戒心を与えた。雨で足場が悪い中、制球の良さを見せつけた右腕は「まずまずだったね」と納得の出来。森ヘッドコーチも「投げられるのは分かっている」と、不敵な笑みを浮かべた。超高速カットボールを武器に、シーズンでも大活躍が期待できそうだ。

 雨でぬかるんだマウンドで、オレ竜の新助っ投がライバルとなるGT「007」の視線をくぎ付けにした。来日初の対外試合で、バルデスがコントロール抜群の投球を披露。直球とスピードが変わらない得意の超高速カットボールを武器に、三星打線からアウトを重ねた。

 「練習試合でなく、普通の試合だと思って投げた。マウンドはぬれていて投げにくかったけど、コントロールはまずまず。四球を出さないように意識していたし(1四球という結果は)自分の中ではよかったと思う」。自身でも納得の“デビュー戦”だった。

 193センチの長身を大きくひねって投げ込む独特のフォーム。3回を投げ、被安打は2本。守備の乱れもあって2点を失ったが、初回には2番打者をこの日最速となる145キロのカットボールで右飛に打ち取ると、2回にも8番打者を三塁線へのゴロ(三塁堂上直が捕球できず、記録は二塁打)に仕留めるなど、「意識して曲げている」というカットボールの精度の高さを早くも実証した。

 ビデオカメラでバルデスの全投球を記録した巨人樽見金典スコアラーは「コントロールがいい。カットを意識して曲げているならマークしないと。あのテクニックはやっかいだね」と早くも警戒。「右投手だけど、うちの左打者にとっては(内角に)入ってくるボールは邪魔になる。左打者は嫌がる」という。小笠原、亀井、阿部、松本、李承■ら左打者ぞろいの巨人にとって、難敵となる可能性があることを明かした。

 バルデスをチェックリストに加えたのは阪神嶋田章弘スコアラーも同じだ。「真っすぐがカット気味に曲がる。慣れるまではちょっとやっかいかもしれない。四球で崩れるようなタイプじゃないし、球速がもう少し出るようになれば要注意」と分析。「練習もまじめみたいだし、これから練習試合、オープン戦とマークしていかないといけない」と警戒を強めた。

 バルデスを先発ローテ候補として考える森ヘッドコーチは「あいつが投げられるのは前から分かっている。ストレートもカットもスピードが変わらないのが特徴なんだ」とニヤリ。今後の課題は日本の柔らかいマウンドやストライクゾーンの違いに慣れること。それでも制球には定評があるだけに、年俸15万ドル(約1350万円)の格安助っ人が、額面以上に働く可能性は十分だ。【福岡吉央】※■は火へんに華

 [2010年2月18日11時37分

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