<ソフトバンク5-7巨人>◇7日◇福岡ヤフードーム

 ルーキーがオープン戦打点王へ突っ走る。巨人ドラフト1位の長野久義外野手(25=ホンダ)がソフトバンク戦(福岡ヤフードーム)で、ともに適時打となる二塁打と三塁打を放ち2打点を挙げた。得点圏打率は10打数6安打の6割で、12球団トップの打点を9に伸ばした。打率も規定打席未満ながら4割に到達し、開幕スタメンへ突き進む。

 二塁を蹴っても、長野のスピードは落ちなかった。2点リードの6回2死二塁、ソフトバンク甲藤の変化球を振り抜いた。中堅フェンス直撃の当たりに、50メートル5秒8の韋駄天(いだてん)が駆けた。滑り込んで三塁到達。送球より紙一重、早かった。プロ初の三塁打。2回の先制二塁打に続き、この試合、2打点目を挙げた。

 6割の得点圏打率で、打点を荒稼ぎ。オープン戦9打点は12球団トップだ。この日は「8番右翼」で出場したが「誰が後ろにいても、つなぐだけ。今日は古城さん。しぶとい打撃をされますよね」とチームプレーを強調した。2回の先制劇は、1死から6番E・ゴンザレス以下4連打で挙げた。強力下位打線の一翼を担った。

 新人離れの勝負強さは、あの人の目にも留まった。視察したソフトバンク王球団会長に試合前、グラウンドであいさつ。背中をポンとたたかれ「『攻撃的でいいぞ!』と言われました」と感激した。宮崎キャンプでは、巨人長嶋終身名誉監督に才能を認められた。晴れてON2人の知遇を得た。

 そんな長野の脳裏に、11年前のことがよぎった。隣県の佐賀で育ち、福岡ヤフードームには「中学までは、よく見に来てました」。99年、王監督率いるダイエー初V目前の、ある試合を覚えている。9月8日の西武戦。秋山が顔面に松坂の死球を受けた。「見てたんですよ。病院に運ばれましたよね。最後は井口さんがサヨナラ満塁弾。その球場でプレーするなんて、不思議な感じがします」。

 敵将があの秋山監督で、王会長とも話した。ちょっぴり感慨を持ったが、すぐに表情を引き締めた。原監督は「この段階では結論は出さない。時期尚早です」と、定位置争いは続いている。長野も「がむしゃらにやるだけです」と承知。縁ある福岡に強烈な印象は残したが、ゴールはまだ先。1球1打、レギュラー奪取へ疾走する。【古川真弥】

 [2010年3月8日8時41分

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