巨人踏み台に不振脱出だ!

 広島栗原健太内野手(28)が8日、マツダスタジアムで休日返上の練習を行った。チームは1、2軍ともにオフだったが、約1時間半、トレーニングルームにこもる“極秘トレ”を敢行。オープン戦は全6試合で4番に座り、22打数1安打と結果が出ていない。9日はV3中の宿敵、巨人戦(マツダスタジアム)に出場予定。復調のきっかけをつかんで行くには格好な相手だ。

 「4番」の看板を背負う者としての自覚だった。ほとんどチームメートが現れない閑散とした本拠地。球場関係者も「今日は誰もいないよ。1、2軍ともに休みだから」と話すような状況で、午後1時過ぎにふらりと選手出入り口から現れたのが栗原だった。つかの間のオフでも人知れずトレーニングルームにこもり、黙々と体を動かし続けた。

 栗原

 これから遠征が続きますからね。(打撃の)感じは悪くない。開幕までに(状態を)戻していければいいと思います。

 今季は確実性を高めるべく、コンパクトな打撃を心掛けてきた。春季キャンプから打撃フォームで試行錯誤を重ねており、オープン戦でも低調。6日のロッテ戦(マツダ)の第1打席でオープン戦14打席目の初安打(左前適時打)を放ったが、その後は3三振。乗り切れない状態が続く。オープン戦トータルでも、打率はわずか4分5厘と結果は出ていないが、自身は打撃の感覚をつかみつつある。

 表面的には「4番のスランプ」として深刻にとらえられがちだが、周囲は悲観していない。浅井打撃コーチも「良くなってきているんじゃないか。問題ないでしょう。『明日開幕』なら困るけど、まだこの時期だからね」と一笑に付す。今季から三塁に転向し、攻守の両立を図る。オープン戦の本隊に帯同せず、別メニューで打ち込ませる一案もあるが、三塁守備の実戦感覚を磨く目的もあるため、現時点では試合の打席のなかで復調を目指す方針だ。

 昨季は、レギュラー定着後ではワーストの打率2割5分7厘に終わったが、08年には3割3分2厘をマークするなど、打撃の実力も実証済み。感覚を取り戻すのもテーマの一つになる。日南キャンプ中には「以前はどんなタイミングでも打てる自信がありました。いまのタイミングの取り方に慣れて、昔のがうまくできない」と漏らした。打撃フォームのトップ位置を作るまでの過程も重視。いまがどん底なら、あとは、はい上がるだけだ。あらゆる手だてを施し、復調の道を探る。【酒井俊作】

 [2010年3月9日10時20分

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