<ヤクルト7-11日本ハム>◇14日◇神宮

 初の開幕1軍が確実な日本ハム中田翔内野手(20)が、再加速した。14日のヤクルト戦(神宮)に「7番DH」で先発。13打席連続無安打だった6回の第3打席に、三塁へのボテボテのゴロを放ち激走。執念で4試合、14打席ぶり安打となる三塁内野安打をマークした。トンネルを抜けるきっかけを少しつかみ、開幕メンバーが決定する16日の中日とのオープン戦(鎌ケ谷)で最後の大勝負をかける。

 巨体を、揺すって突進した。中田が不本意な打球を見届けても、あきらめなかった。6回1死からの第3打席。三塁へ、打ち損じのボテボテのゴロを放つ。一塁まで、決死の全力疾走。ギリギリのタイミングで駆け込み、見つめた一塁塁審の手が大きく広がった。1週間ぶりに、スコアボードの「H」のランプがともった。「あれは最低限…」と納得していなかったが、執念で結果は出した。

 オープン戦佳境で、スランプ脱出の兆しも見えた。3回2死二塁からの第2打席。村中の外角直球を、フルスイングした。放物線を描きスタンドインかと思われたが、左翼フェンス手前で大飛球は失速。左飛に終わったが、差し込まれると課題とされた真っすぐを打ちにいき、完ぺきにとらえかけた。中田も「詰まらされたのもありましたけど、いいタイミングで打てた」と手応えの一振りだった。

 試合前に、梨田監督から直接指導を受けて臨んだ一戦だった。「真っすぐに差し込まれているから力負けしないように。真っすぐをまず打てないと」と助言を受け、フォームなどを修正された。試合中にも同監督、福良ヘッド兼打撃コーチが1打席を終えるごとに指導。結果は伴わなかったが、同コーチは「昨日よりも内容が良かった」と評価した。再生にかける恩師たちの思いに即座に応える、この日の5打席だった。

 勝負の3年目と位置づけた今季。オープン戦の残り1戦まで、1軍残留でたどり着いた。中田も開き直った。「今日みたいに思いっきりやるしかない。楽しみながら守備や走塁も含めて、いろんな意味でアピールしていきたい」。最終関門は、16日の中日戦。過去2年間を過ごした2軍本拠地の千葉・鎌ケ谷で、万年2軍からの“卒業”にはふさわしい舞台が整った。「小さなことから自信をつけていくしかない」。中田が次なるステージへ向け、前を向き出した。【石井克】

 [2010年3月15日11時55分

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