<ロッテ5-3ソフトバンク>◇25日◇千葉マリン

 02年センバツの報徳学園V腕を忘れていませんか?

 ロッテのドラフト2位ルーキー大谷智久投手(25)がソフトバンク戦でプロ初勝利を挙げた。先発川越が負傷降板し、2回から緊急登板。3回1/3を投げ3安打無失点に抑えた。23日にはトヨタ自動車の同期・ヤクルト中沢がプロ初完封したばかりだが、パ・リーグでは新人一番乗りの白星となった。

 チームの危機を救ったのはルーキー大谷だった。先発川越が右太もも裏に張りを訴えてわずか16球で降板。2回無死一塁から緊急登板。慌てることなく後続を3人で抑えた。毎回走者を出しながらも5回途中まで無失点で切り抜けた。スライダー、カーブ、チェンジアップを織り交ぜ、バットの芯を外していった。

 「準備はしていたので、もう少しいい投球ができた」と満足はしなかったが、お立ち台では涙をこらえながら「ほんと信じられないです。千葉マリンで初勝利を挙げられて本当にうれしい」と声を上ずらせた。最後は「この海坊主をよろしくお願いします」と声を張り上げ、ファンの笑いを誘った。その後、観戦に訪れていたプロレスラー藤波辰爾から頭をナデナデされると、初々しくはにかんだ。

 報徳学園時代の02年センバツで優勝、早大では4度のリーグ優勝、社会人でも日本選手権を2度制し、MVPも獲得した。輝かしい経歴にも「最終的な結果であって、コツコツ積み重ねてきたのが自分の野球人生」と謙虚なのは、悔しさを忘れてないからだ。開幕は2軍。社会人からのチームメート荻野貴は脚光を浴びている。1軍初登板を果たした23日には、同じく社会人時代の同僚、ヤクルト中沢がプロ初完封。「中沢とも仲がいいし、励まし合ってきた。一緒に刺激を受けながら頑張ってきたので」と発奮材料になった。

 ルーキーの活躍に西村監督も「よく投げてくれた。頑張った」とニンマリ。2位西武とは1ゲーム差で27日から直接対決だ。9連戦にも弾みをつけた。昨年引退した小宮山悟氏(日刊スポーツ評論家)の背番号14を継承する中継ぎ右腕が、フル回転する。【斎藤庸裕】

 [2010年4月26日8時35分

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