2軍調整中の西武ドラフト1位ルーキー雄星投手(18=花巻東)が7月23、24日の球宴後にも1軍昇格に向けたテストを受けることが6日、分かった。渡辺久信監督(44)がイースタン・リーグでの登板を視察し、合否を決める。昇格すれば、チームに不足している左の中継ぎが有力視される。一時は135キロまで落ちた自慢の直球も4日の同リーグ楽天戦(Kスタ宮城)では147キロまで戻ってきており、順調なら後半戦で念願の1軍デビューが実現する。

 夏の甲子園を熱狂させた雄星が、1年後にプロのマウンドを沸かせるチャンスを迎えた。渡辺監督がルーキー左腕の1軍昇格条件について初めて触れた。「状態がグッと上がっていけばね。オールスター後に1回見て、それで良かったら1軍もあるよ」とニヤリ。1軍昇格のテストとして、イースタン・リーグでの登板を視察することを明かした。

 球宴後、イースタン・リーグでは巨人との2連戦(西武第2)がデーゲームで組まれている。ちょうど1軍では、隣の西武ドームでナイターのロッテ3連戦があり、早ければここが“御前投球=1軍昇格テスト”となりそうだ。

 雄星は4日のイースタン・リーグ楽天戦で5回を無失点に抑えてプロ初勝利。課題の制球は1四球と安定し、3月31日の同リーグ・ヤクルト戦では135キロだった直球も最速147キロを3度計測。155キロ左腕として騒がれた高校時代には及ばず、セットポジションでの投球や変化球精度なども課題だが「初めてまともなピッチングができた」と手応えを感じる内容だった。

 渡辺監督は、投手陣が安定しているという1軍の現状もあり「オールスター前は(昇格は)ない。とりあえずこのまま」とクギを刺した。だが、プロ初勝利で上昇気流に乗りつつある18歳への期待は高い。「グッと上がってくるようなら、もともとその(1軍で投げる)力はあるわけだからね」とつけ加えた。球宴後となれば、優勝争いの重圧が増してくるが「それ(重圧)をはねのけるだけのものが感じられれば、関係ないよ」と楽しみにしている。

 1軍昇格の場合は、注目の先発ではなく、当面は中継ぎの可能性が高い。潮崎投手コーチは「先発でデビューさせたい?

 それもあるけど、左の中継ぎが足りないチーム事情があるからね。左で147を投げられるピッチャーは現状いないわけだし」と言う。実際に2軍でも中継ぎの適性を見るために、試合中にブルペンで準備させていたこともあった。中継ぎで経験を積み、実績を挙げれば先発昇格ということになりそうだ。

 1軍デビューへの青写真は示された。雄星が球宴後の試合で指揮官をうならせた先に、1軍のマウンドが待っている。

 [2010年5月7日8時50分

 紙面から]ソーシャルブックマーク