<阪神2-4日本ハム>◇12日◇甲子園

 日本ハムのボビー・ケッペル投手(27)が、来日初完投勝利でチーム単独トップの5勝目を挙げた。

 北海道弁で、頑張るという意味の「けっぱる」に語感が似た助っ人右腕が、投の主役だ。ケッペルが来日初完投のおまけ付きで、自身4連勝。ダルビッシュを抜き、チームトップの5勝目を挙げた。強力な阪神打線を8安打で2失点。「素晴らしい。試合にも勝つことができた」と自画自賛の働きだった。

 丹念にバットの芯を外し続けた。奪三振は、わずか4。打者の手元で動く、直球を含めたムービング系の全球種で幻惑した。鳥谷に1発を浴びた直後の9回無死一塁。新井が中前打で出塁し、敵地は最高潮のムードでもクールに、城島を仕留めた。胸元をえぐるような初球148キロで三併と、最後の難所も特長十分に切り抜けた。「ケッペルと今日は心中やった」。腹をくくって見守った梨田監督へ、白星を贈った。

 ケッペルの記憶に残っている限りでは、完投は08年の3A以来という。捕手・鶴岡のサインに我慢強く従い、要所は高速シンカーなど変化球でしのいだ。12日は一目置くダルビッシュ超えを果たしても、謙虚。「格が違うよ」と足元を見つめられる柔軟思考で、早くも日本にマッチ。今季はまだまだ、けっぱる。【高山通史】

 [2010年5月13日12時0分

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