<ソフトバンク9-3阪神>◇19日◇福岡ヤフードーム

 阪神真弓明信監督(56)が鬼の采配を振るった。4回2失点の先発上園啓史投手(25)を、不用意な投球で食らった2被弾を理由に4回で見切りをつける“懲罰交代”。救援陣でも、打ち込まれた久保田智之(29)石川俊介(24)の2投手に試合後、2軍降格を命じた。ここまで貯金生活で2位をキープしているが、引き締めの意味もあったのだろう。真弓流の投手改革で再進撃に乗り出す。

 真弓監督が鬼になった。上園に命じたのは何と“懲罰降板”だった。4回2失点なら、5回も続投ではないのか。先発として十分ではないのか。「悪くはなかったんだけどね」。監督はアクシデントの可能性を否定し、それ以上の言葉は飲み込んだ。交代の真意を代弁したのは、2人の投手コーチだった。

 「フェンスを超したのが(交代の)1つの基準。あれだけ城島が入り方に気を付けろ、と言ってるのに」。久保コーチの口調は厳しかった。0-0の4回。先頭オーティズと柴原に被弾して2失点。いずれも1番警戒すべき初球、相手の得意なコースに投げて痛打された。山口コーチも「やられ方がなあ。ツボに放り込んでしまってる。それをみんなで避けようとしてるのに」と悔やむ打たれ方だった。

 前夜は起死回生の逆転勝ちを収めた。だがその不用意な投球が、連勝へのムードに水を差したと見たのだろう。安藤、能見、岩田の3本柱を欠く台所事情は苦しい。救援陣への負担を考えても、本来なら1イニングでも多く投げてほしい場面。だが指揮官選んだのは、ナインの士気を下げさせないための引き締めだった。まさに厳罰の意味が込められた交代劇だった。

 指揮官は打ち込まれた救援陣にも鬼の断を下した。久保田と石川の2軍降格だ。久保田は勝利の方程式から外れたてから初登板だったが、7回に4連打を浴びるなど1アウトを取っただけで3失点。金本のヒットなどで1点を返した直後、勝敗を決する痛恨の投球となってしまった。ここまでの貯金を稼いだ功労者であり、先発の不振による登板過多が招いた4戦連続失点だが、限界を悟ったのだろう。ダメ押しの9点目を奪われた石川とともに再調整を命じた。

 投手事情が苦しいのは明白。だからといって妥協は許されない。心を鬼にし、突き放すことでたくましくなってほしい。現在貯金5で2位をキープしているが、残り100試合以上あるペナントレースを考えた時、このままではちょうらくとの危機感もあったのだろう。21日からの関西対決オリックス戦から再進撃に挑む。【松井清員】

 [2010年5月20日11時49分

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