<巨人3-0阪神>◇22日◇東京ドーム

 阪神城島健司捕手(34)が、巨人戦3連敗を猛省した。打線がわずか6安打に封じられ、今季4度目の完封負け。「優勝」のNGワードを解禁し「同一カード3連敗は、優勝するためにはやってはいけないこと」と、巻き返しへの強い意思を示した。2位巨人にはゲーム差なしに迫られ、3位中日とは1・5差。24日からの広島戦(京セラドーム大阪)に、この悔しさをたたきつける。

 うつむく虎ナインを代弁する、無念の叫びだった。帰りのバスへ続く東京ドームの通路。歓喜に沸き返るG党の黄色い声を背に、城島は悔しさを吐き出した。

 「同一カード3連敗は、優勝するためにはやってはいけないこと。情けない」

 入団以来、かたくなに封印してきた「優勝」への意識が、初めて口をついた。ロード出発前の7月末。「何年も優勝してないのに意識する必要はない。まだ早い」と話していた男も、今回の巨人3連戦がヤマ場と認識していたのだろう。それほど痛い3タテだった。

 「(先発)投手は次の日(負けを)取り返せない。バッテリーで次の日取り返せるのは捕手だけ。そこで勝ちをつけないと…。そこが捕手の技量のなさです」

 怒りの矛先は自分自身だった。朝井らの前に、自身の連続試合安打も10で止まって完封負け。だがそれ以上に、捕手としての悔しさが募った。3連戦の先発は再昇格の小嶋、19歳の新人秋山、そしてメッセンジャーが中4日と“ローテの谷間”が続いた。だがそんな非常事態でこそ投手を支えたかった。結局この日の助っ人右腕は、坂本に先頭弾を浴びるなど3回3失点KO。もっと自分が何とかできたのではないか…。言い訳は一切なく、全責任を背負った。

 日本とメジャーで修羅場をくぐってきた男にとって、カード3連敗阻止は頂点への厳守事項だった。それだけに3度目の失敗が、腹立たしさを増幅させた。「それも競ってる相手にやられて…」。今季のカード3連敗は中日戦の2度に続き、全部V争いのライバルに喫した。このままでは「優勝が遠ざかっていく」。もう1度使った「優勝」の言葉。自身も含め、大事な試合で体が動かなくなっている虎ナインを鼓舞する、逆襲メッセージでもあった。

 もちろん本当の戦いはこれからだ。3差離した巨人に引導を渡すはずがゲーム差は再び0になった。だがまだ首位にいる。「自分たちの地位がそこにあるのは救いですよ」。城島も前を向いた。そしてバスに乗り込む直前、力強く言った。

 「優勝するためには3連敗しないこと。僕の考え方は変わってないしブレてない。それは(相手が)上位でも下位でも変わらない。また(明日から対戦)チームも変わる。こっからはそうならないようにしたい」

 24日からは、3戦連続2ケタ得点で横浜を3タテした黒いユニホームが復活する広島3連戦。しっかり気持ちを切り替え、もう1度進撃体勢を整える。自身、3度口にした「優勝」へ。東京で刻んだ教訓は、必ず生かす。【松井清員】

 [2010年8月23日12時11分

 紙面から]ソーシャルブックマーク