今季途中に国内フリーエージェント(FA)権を取得し、動向が注目されていた日本ハム田中賢介内野手(29)が、FA権を行使せずチームに残留することが決定的であることが15日、分かった。コンディショニング調整のため5日間行っていた断食を終え、この日は札幌市内の屋内練習場に姿を見せた。FA権については「(断食中に)いろいろ考える時間はありました。どこかで期限を決めないといけないし、今月中には答えを出します」と明確な答えを示さなかったが、田中に近い関係者によれば「チームに残る方向で決断したようです」と気持ちは固まっているようだ。

 首位打者獲りを宣言して臨んだ11年目の今季は、6月に打率4割1分7厘で月間MVPを獲得するなど、シーズン通してタイトル争いを展開し、193安打(リーグ2位)、打率3割3分5厘(同2位)と過去最高の成績を挙げた。

 上昇志向は強く、野球への取り組みも熱心。新たな環境での再挑戦に心が揺れた時期もあったようだが、最終的に決断したのはチームへの愛情もあった。「他球団とてんびんにかけることはしないです。(指針は)自分がこの先どうしていきたいかという1点だけ」と、プレーするための環境や将来的なビジョンを最優先に考えてきた。選手会長としてチームを率いた今季、5年ぶりのBクラスと悔しい思いをしたことで、リベンジの思いが強くなったことも一因になったようだ。

 今後は11月早々に球団側と契約交渉を行う見込み。FA権でのメジャー挑戦を表明している建山、同じく同権利の行使を示唆している森本と主力の大量流出も危惧(きぐ)されていただけに、人気、実力ともにチームトップクラスの田中の残留は、来季へ向けて明るい材料になる。

 [2010年10月16日10時52分

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