<セCSファーストステージ:阪神6-7巨人>◇第2戦◇17日◇甲子園

 薄暮の甲子園。照明が照らし出したのは疲弊しきった阪神藤川球児投手(30)だった。1点リードの8回2死二、三塁。決め球に選んだフォークをラミレスにはじき返された。襟足から汗をしたたらせながら、逆転の走者が生還するのをホームベース後方から見届けた。

 4番との勝負で涙をのんだプレーオフ。ファンやベンチ、そして藤川球の頭にも、2年前の悪夢がよぎったに違いない。08年10月21日、中日と戦ったCS第1ステージ第3戦。0-0の9回2死三塁で、4番ウッズに直球を左中間へ運ばれた。そして、再び…。「自分がやれることをやったから、悔いは残っていない。自分の力は、こんなもんかな。腹を決めてやっているから、悔しさはない」と振り返った。

 48球中20球がフォークで、本来の投球でなかったことは明らかだった。今季2度しかなかった、8回先頭からのマウンド。ベンチの期待は感じていた。ただ、「(シーズン)終盤はバテた感じがあった」。9月11日ヤクルト戦では、ホワイトセルにプロ入り初の逆転本塁打を浴びた。同30日横浜戦では村田に逆転3ランを浴び、自力優勝が消滅。レギュラーシーズン58試合に登板した守護神の右肩は疲労でむしばまれていた。

 1点差の9回、甲子園は声を失った。藤川球は制球が定まらず3四球を与え、2死満塁のピンチを招いた。それでも、最後は148キロの直球で亀井を中飛に抑えた。破れかぶれでも、点をやらなかったのは守護神の意地だった。「また、考えたい」。藤川球は静かに笑った。【鎌田真一郎】

 [2010年10月18日9時25分

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