契約更改交渉が難航中のソフトバンク杉内俊哉投手(30)に球団側が年内決着の自信を見せた。笠井和彦オーナー代行(73)が13日、5000万円増となる3億5000万円の前回提示からの上積みと、25日の第2回交渉への直接出馬を示唆。金額提示だけでなく「録音機問題」など球団の姿勢に態度を硬化させている左腕に対し、球団は最大限の誠意で解決をはかる。
杉内くん、安心して-。激怒のエースに対し、球団側が歩み寄る。この日、福岡ヤフードームを訪れた笠井オーナー代行は、徹底抗戦の姿勢を見せる杉内を納得させる自信を見せた。
「じっくり話し合えば分かり合えるはず。今ここに彼がいれば『安心してくれ』と言いたい。私が出てもいい」
エースの怒りは並々ならないだけに、このままいけば越年は必至の情勢だった。左腕の怒りの起因は今季3億円から5000万円増だった金額提示以上に、レコーダー問題や来オフからの新査定問題。10日の交渉の席で代理人に対し、小林至取締役がレコーダーを持ち出すなど球団側の姿勢に不信感を覚えた。
「尋問を受けているようだった」と代理人の酒井弁護士は首をひねり、杉内も「話す気にもなれなかった。もう少し上の人と話をしないと進まないかもしれない」と話していた。
これに対し、オーナー代行は「私が出てもいい」と交渉の席への直接出馬も辞さない構えを見せた。普段は東京の本社に在籍し、交渉のためだけに福岡に来るのも異例。ましてや、一選手の契約更改交渉にオーナー代行の肩書を持つ首脳が対応するのは球界でも極めて珍しいが「誠意を感じられない」という杉内サイドを、直接自身の言葉で納得させる考えもある。
だが、10日の契約交渉直後よりも杉内の怒りは増している。11日に1億2000万増で和田が契約更改。17勝8敗の和田に対し、杉内は16勝7敗。ともに柱としてリーグVに貢献した自負があるだけに、7000万円もの開きが出た査定にさらに疑問を深めた。
これにも、笠井オーナー代行は上積みも約束した。
「彼(杉内)はエース。彼がいなかったら優勝はできない。25日に決着?
もちろんそう。お正月はお互い気持ちよくお酒を飲みたい」
杉内は不参加だが、球団行事としてV旅行などを挟むため、第2回交渉は25日に予定されている。こじれた関係が一気に収束するのか。球団は、16勝左腕に誠意というクリスマスプレゼントを用意する。【倉成孝史】
[2010年12月14日11時9分
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