<オープン戦:中日5-0横浜>◇7日◇ナゴヤドーム

 5番奪回だ!

 中日トニ・ブランコ内野手(30)が横浜戦(ナゴヤドーム)でオープン戦1号を放った。6番一塁で先発。新外国人ジョエル・グスマン外野手(26=オリオールズ2A)に5番を譲ったが、21打席目の1発で復調の兆しを見せた。今季目標も40発に設定。09年の2冠王は、打順もタイトルも奪い返す。

 高々と舞い上がった打球が逆襲のサインだった。5回、フルカウントから横浜の左腕・真下の低め直球をすくい上げた。ブランコ特有の滞空時間の長い打球は両軍の選手、ファンに見上げられた後、左翼スタンド前列に着弾した。

 「難しいコースだったけど、うまく打てたよ。うまく内からバットを出すことができた」。

 オープン戦21打席目の1発。来日3年目で最も打席を要したが、巻き返しの合図だった。キャンプでは右肩を痛めたこともあって、新助っ人グスマンに押され気味だった。ライバルが練習試合で3戦連続本塁打を放つなど大活躍する中、オープン戦20打席本塁打なし。5日からの本拠地3連戦でも、落合監督は打順を5番グスマン、6番ブランコの並びにした。

 「打順のことは関係ないよ。それは僕が決めることじゃない。自分でコントロールできないことだから。気にせず、前向きにやっていこうと思っている」。

 控えめに話したが、09年2冠王のプライドを胸に秘めていた。5日のオリックス戦から3試合連続安打、合計12打数6安打と復調の兆しを見せている。09年に来日してから2年間、クリーンアップを外れたことのない大砲が、このまま黙っているはずはない。

 状況に応じて柔軟な打撃を見せるグスマンに対し、ブランコの魅力はやはり1発だ。今季から導入された統一球は飛ばないとされるが、ブランコにかかれば、“てんぷら気味”でもスタンドまで届く。

 「確かに去年とボールの感触は違うよ。50本と言いたいところだけど、今年は40本打ったらすごい打者だろうね。そこを目指してやっていきたい」。

 飛ばないボールでの40本塁打を目標に設定し、2年ぶりのタイトル奪回にも意欲を見せた。グラウンドを1歩離れれば日本球界の先輩としてグスマンにアドバイスする心優しきB砲。それでもクリーンアップのイスは限られている。ブランコが、逆襲を開始する。【鈴木忠平】