<日本ハム4-1西武>◇29日◇札幌ドーム

 新・勝利の方程式で再び首位浮上だ。日本ハムが、7回1失点の先発ブライアン・ウルフ(30)から、セットアッパー増井浩俊(26)、抑えの武田久(32)とつなぐ必勝リレーで西武打線を封じた。開幕から増井は6試合、武田久は8試合連続で無失点。防御率0・00コンビが、ブルペン陣の屋台骨を支えている。

 守護神の気迫がこもった19球だった。今の武田久に迷いはない。大野のサインを確認し、構えたミットにどんどん投げ込む。「リードは捕手に任せているので。捕手に感謝です」。内角をえぐるシュート、外角に逃げるスライダー、そしてキレのある直球。どの球種も、多少甘く入ってもファウルになってしまう球威で押し切った。

 完全復活を期したシーズンで、最高の滑り出しを見せている。8試合で被安打はわずか3本、失点はゼロで、リーグ最多6セーブと完璧な結果を出し続けている。昨季序盤は救援失敗が続いた。右内転筋の故障もあり、一時、守護神の座を離れた。04年以降、中継ぎ、抑えとして築いてきたプライドは傷ついた。悔しい思いをしたことで、オフに自分自身を見つめ直した。目指すべき姿は、直球での真っ向勝負だった。

 力強い真っすぐを取り戻すため、トレーニング方法をウエート中心から、体幹トレに移し、インナーマッスルを意識的に鍛えた。また、今季は早めに球場入りし、ストレッチを入念に行っている。年齢を重ねるごとに股関節が硬くなってきたことを実感していたからだ。低い重心から大きく左足を踏み出す独特な投球フォームを維持し、復活の足掛かりにしている。

 2年目の増井も、右の中継ぎエースの座へ着実に階段を上っている。8回に登板し、9番秋山に投じた5球目は152キロ。自己最速となるストレートで押した。2三振を含む3者凡退。榊原、左の宮西らとともにリリーフ陣を支える存在で、6試合連続無失点。「いいところで投げさせてもらっているので、準備しているときから充実しています」と振り返った。

 新戦力の台頭に、梨田監督も「あれだけのボールを投げていて、相手も嫌がっている」と、手応えを感じている。リーグでも随一の真っ向勝負できる右腕2人の活躍で、チームも再び単独首位に返り咲いた。【木下大輔】