<ロッテ3-2ソフトバンク>◇29日◇QVCマリン

 やっと刺した!

 ソフトバンク細川亨捕手(31=西武)が、今季初めて盗塁を阻止した。4回先頭の荻野貴が左前打で出塁し、次打者井口の2球目にスタートを切った。山田の真ん中高めの直球を受け取ると、素早く二塁へ送球。昨季盗塁成功率8割9分3厘の俊足走者とのガチンコ勝負に勝った。

 「これを続けていくことだけを考えたい」。

 昨季の盗塁阻止率は3割6分1厘でパ・リーグ1位を誇った。だが、今季は走られっぱなし。13個の二盗を許し、1度も刺せていなかった。「こんなに走られたことは記憶にない」。投手との呼吸が合わず、オリックスT-岡田、日本ハム中田と決して俊足ではない選手にも簡単に投球動作を盗まれた。「送球やリードを含めて守備面ではだれにも負けていない」と自負する強肩捕手が悩んだ。

 「山田はクイックに磨きをかけて走者と駆け引きするよりも打者との駆け引きを学ぶことの方が大事。自分がカバーするしかない」。

 遠征先には常にパソコンを持参。走者のくせが詰まった情報を、寝る前に頭にたたき込んでいた。24日のロッテ戦では、荻野貴に二盗を許していた。その時の映像を何度も見返し、走るタイミングを読み切った。球界屈指の俊足を刺し、少し自信を取り戻した。

 「自分は春先、あまり肩の調子が上がってこない。これから徐々に上げていかないと」。

 ようやく自慢の強肩が温まってきた細川。もう簡単に盗塁は許さない。【奈島宏樹】